前回記事でみたとおり、森友学園への国有地売却における大幅値引きの根拠となった埋設ごみが、さまざまな客観的事実により「存在しなかった」ということが立証されてきた。これまで、その立証の前に大きく立ちはだかっていたのが、建設工事中に森友学園用地の3m以深から掘削されたとする埋設ごみの写真であった。
財務省と国土交通省は昨年2月27日、連名で新たな埋設ごみが見つかったという3月11日以降の調査内容を「説明資料」名で、国会に提出した。その中には、3月11日の学園用地の様子や、3月14日に近畿財務局と大阪航空局が現場確認した時の様子が写されていた。それに加えて、3月30日に近畿財務局職員が撮影したという同地を試掘し、掘り出した埋設ごみを積み上げた17カ所を撮影した写真資料(「17枚写真資料」)がその「説明資料」には添付されていた。
しかし、その17枚の資料では、掘削穴と積み上げた埋設ごみが3m以深の深さから掘り出したものであるか、わかる痕跡はなかった。そこで、野党の求めに応じて提出されたのが、21枚の写真資料(「21枚写真資料」)であった。
このように小川敏夫参議院議員(立憲民主党)ら野党議員が昨年以降、半年以上かけて国に働きかけ提出させたのが、これらの写真資料であり、もしこれらが新たな埋設ごみを根拠づける資料でなければ、国の“最後の根拠”もなくなることになった。
【2つの写真資料(「17枚写真資料」と「21枚写真資料」)】
表2:2つの資料作成の詳細経過
2015年
・5月29日 国と森友学園が賃貸借契約を締結
・7~12月 森友学園から工事を請け負った株式会社中道組が土壌改良工事(除染と埋設ごみの撤去)を開始。埋設ごみは953トン撤去。
16年
・1月~ 森友学園から工事を請け負った藤原工業株式会社が校舎建設工事に入る。
・3月11日 9.9mの基礎杭の工事中に、深部からごみが見つかったと学園側から国に報告があった(とされてきた)。
・3月14日 近畿財務局(財務省)と大阪航空局(国交省)が立会い、用地の表面部を写真撮影。試掘して深部にごみがあるかを掘削して確かめるように要請。
・3月30日 業者が25~30日にかけて試掘して掘り出した17カ所の「廃棄物混合土」を近畿財務局職員が撮影。
→「17枚写真資料」
・4月5日 国交省の立ち会いの下、深部から掘り出したとする掘削穴と掘削した「廃棄物混合土」全部で21枚の写真を大阪航空局が撮影。
→「21枚写真資料」
17年
・2月27日 財務省と国交省が、説明資料「深い部分からの地下埋設物にかかわる国の職員による現場確認について」を提出(2月23日の逢坂誠二議員の要求に応じて)。この説明資料のなかに「17枚写真資料」。
・8月22日 朝日新聞が「21枚写真資料」の1枚をスクープ報道。同日以降 国が国会議員に「21枚写真資料」を提出
・11月22日 会計検査院が検査結果報告。野党へのレクチャーで国交省資料として「21枚写真資料」を提出。