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安倍政権、北方四島返還を事実上断念…元島民の思いを蹂躙した「プーチンへの手紙」事件

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北方四島のひとつである色丹島(「Wikipedia」より/Vitold Muratov)

 北方領土をめぐる交渉で安倍晋三首相は来年1月にもロシアのプーチン大統領と首脳会談を行う。2016年12月にプーチン大統領が来日した際にも日露首脳会談が行われたが、その場で安倍首相がプーチン大統領に渡した「旧島民の手紙」について、国境学の第一人者である岩下明裕九州大学教授・北海道大学教授は疑念を持った。

 筆者は17年2月に岩下教授を取材したが、今、その内容を掲載する。そこからは、安倍政権の「まやかし外交」が透ける。

岩下明裕九州大学教授・北海道大学教授

――日露トップ会談の2日間について教えてください。

岩下教授 12月15・16日の両日、私はテレビ番組に出演して解説などをしていました。安倍・プーチンの共同記者会見の直後に旧島民の3人が会見する映像が入るはずでしたが、「時間がほしい」と退席してしまいました。声明では「返還」どころか「北方領土問題の解決」の文言すらない。「プーチン大統領が目の前で読んでくれた」と安倍首相が胸を張った元島民の手紙や、元島民の島への墓参りの手続き簡素化には驚きでしたが、当初はさほど疑問は持たなかった。

 ところが翌朝、NHKのニュース番組を見て「あれっ」と思ったんです。番組では元島民の児玉泰子さんが手紙を配り、「これがプーチン大統領を動かすことになった」と美談仕立てで手紙の意義が強調されました。『NHKスぺシャル』で安倍首相に会う前に別室で手紙とおぼしきものが配られ、手紙の一部が映されましたが、私は返還にまったく触れられないのが不思議でした。元島民がロシアに「島を返せ」と言わないはずがない。最初は、手紙には「島を返せ」という主旨の文面はあるのに、それを出さずに報道したと思ったのです。

――手紙は公開されたのですか。

岩下教授 公開されていません。一部報道によれば「島で朝を迎えたい。いつでも墓参りしたい。自由に島に行きたい」などと書かれていますが、「島を返してほしい」とはまったく書かれていない。あたかも自由渡航が一番望むことのような仕立てです。7人が署名したはずの手紙を誰も持っていない。NHKでは手紙を児玉さんが配るシーンが出てくる。あらかじめ用意されていた手紙にサインさせたなら、元島民が持ってないことと辻褄が合う。

 NHKが手紙の作成時から関わらないと、非公開の手紙を配る場面など撮影できない。手回しよくロシア語も用意されていたが外務省がこんな手紙を用意するとは思えないので、仕組んだのはおそらく首相官邸。官邸サイドとNHKが絡んで本来の争点をそらし、成果を演出したといわれても仕方がありません。

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