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『ハケン占い師アタル』放送中の北海道地震の緊急ニュースの入れ方が議論呼ぶ

文=吉川織部/ドラマウォッチャー

 杉咲花が主演を務める連続ドラマ『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)の第6話が21日に放送され、平均視聴率は前回から0.8ポイント減の9.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。初の1桁転落だが、放送中に地震が発生して緊急ニュースに切り替わった影響も多少あるとみられる。実際には数分しか中断しなかったが、当初はこのまま延々とニュースが続きそうな雰囲気もあったため、視聴をあきらめた人もいそうだ。

 ちなみに、緊急ニュース終了後は中断された時点ではなく、ニュースを放送していた時間だけストーリーが進行したところから再開された。これには視聴者から批判が殺到したが、今どきはほとんどの人がスマートフォンで公式に配信されたドラマ本編を後から視聴できるだけに、「ドラマより人命にかかわる可能性があるニュース優先」という判断を責めることはできないと思う。

 ただ、筆者の住む北海道では、地震直後の中断に加えてラスト付近にも再び緊急ニュースが流れ、肝心の結末や次回予告が一切放送されないまま、21時54分からの『報道ステーション』に切り替わった。これには「再開しておいて結末を見せないのかよ」とさすがにズッコケたが、まあそんなことを言っても仕方がない。何しろ北海道は昨年の「胆振東部地震」で全道が長時間停電になるという非常事態を経験したのだ。本当ならドラマどころではないのである。

 話がすっかりそれた。このドラマは、あらゆるものが見える能力を持つ派遣社員・的場中(まとば あたる/杉咲花)が、その能力を駆使して周りの正社員たちが抱える悩みを解決していくお仕事コメディードラマだ。

 今回は、アタルが派遣されているイベント会社で課長を務める大崎結(板谷由夏)の背景を掘り下げた。大崎はいつも部下たちに気を遣い、なだめたりすかしたりして彼らの機嫌を取りながら、なんとか役職を果たしていた。日常的に無茶ぶりをしてくる部長の代々木匠(及川光博)と、その被害を直接受ける部下たちとの間で板挟みになりながら、決して機嫌の悪そうなところを見せない人物だ。

 一見すると「優しくて部下思いのいい上司」なのだが、どう見ても無理している感じは否めない。毎日こんなことが続けばストレスがたまることは明らかで、視聴者からも「一番深い闇を抱えているのでは」と予想されていた。

 第6話ではそんな大崎の家庭が描かれ、家事に非協力的でおまけに浮気までしている夫と、なにか問題を抱えて荒れている息子がいることが明らかになった。会社でも上下の板ばさみになって大変なのに、家庭でも顧みられず、誰にも感謝されない大崎は本当につらそうだ。決して特殊なケースではなく、家庭にありがちな話であるだけに、身につまされた人も少なくないのではないだろうか。大崎役の板谷の演技も抜群で、「いい人だからこそどうすることもできない苦悩がよく表れていた」「胸が苦しくなりそう」「なんとか助けてあげたい気持ちになる」と視聴者から絶賛を集めた。

 今回もアタルの「占い」で大崎が救われるという結末は基本的に今までと同じだが、いくつかの重要な伏線が回収された。そのひとつが、アタルが今まで提示してきた「占い料10万円」。これは、アタルの母であるキズナ(若村麻由美)が客に提示していた額と同じだった。ただしアタルは今まで誰からも10万を受け取っておらず、反対にキズナは15万円に値上げしていた。

 アタルが占いの際にやたらと上から目線で荒い口調になるのも、キズナへのアンチテーゼ。時に涙を流して客に優しい言葉を掛け、自身の信者にするキズナのやり方の真逆をやっていたのだった。相手の問題点をズバリと指摘して変革を促すアタルの占いスタイルも、「あなたは悪くない。周りが悪い」と客を全肯定するキズナのやり方と正反対。アタルは母親のやり方を否定し、それとまったく逆のことをしてきたのだった。

大崎に母のことを聞かれたアタルは、「母から逃げてきた」と話した。アタルの占いスタイルがキズナと正反対であることを踏まえると、これは単なる反発などではなく、敵対であると考えるのが普通だ。おそらくアタルは母に居場所を悟られぬために、占いの能力を封印してきたのだろう。だが、そんな事情を知らない大崎は、キズナにアタルのことを話してしまった。案の定、キズナはすぐさま会社を訪ねてきた。

 次回第7話では、アタルがキズナから逃げ切れるのかどうかと、さんざん大崎に無茶ぶりしてきた代々木部長がアタルにどんな占いをされるのかが焦点になる。視聴者の間ではこれまで、「代々木部長は実はいい人なのでは」という予想もあったが、自身の出世のために独断でリストラを進めてしまうような腹黒い人物であることが今回の第6話で明らかになってしまっただけに、どうオチを付けるのかが注目される。かなりベタな展開が続いているが、次回あたりでそろそろ大きな転換点が来るのかもしれない。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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