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牧野知弘「ニッポンの不動産の難点」

活況の不動産投資市場が“下落するとき”…ファンドバブル時と同様の動き

文=牧野知弘/オラガ総研代表取締役
活況の不動産投資市場が“下落するとき”…ファンドバブル時と同様の動きの画像1「Gettyimages」より

 2008年9月、アメリカの投資銀行リーマンブラザーズの経営破綻に伴って発生した金融危機以来しばらく低迷していた不動産投資マーケットだが、ここ数年で息を吹き返し、今では活況を呈している。

 理由は3つだ。1つめがアベノミクスと呼ばれる金融緩和策により、低金利で潤沢なマネー供給に支えられた国内外の投資家が、景気回復の始まった日本で不動産を買うのにちょうど頃合いとなったことだ。2つめが急激に増加する高齢者である。ある程度の資産を持った高齢者が相続対策として不動産投資を行う必要性が生じ、土地の有効活用や相続評価額の圧縮を目論んだ不動産投資をし始めたことだ。

 そして3つめとして景気が回復してもあまり収入が増えない、今後の社会保障制度に対する不安などを理由に、会社員が安定した副収入を狙ってアパートなどの不動産投資に積極的に参加するようになったことがあげられる。

 一方で投資利回りは下がり、価格が高騰するマーケットに対し警鐘を鳴らす動きも出てきた。不動産投資マーケットの現状と今後の行方について考えてみよう。

1.不動産投資マーケットの状況

 
 都市未来総合研究所の調査によれば、上場企業やREITなどが国内不動産を売買した取引総額は、2017年度で1100件、4兆9763億円。前年度と比べ、件数ベースでは微減だが取引金額ベースで21%も増加している。1件当たりの取引額の高額化が原因だ。

 プレーヤーは外資系法人や私募ファンド、私募REIT、ブリッジファンドなど。外資系法人で不動産を取得しているのはソブリンウェルスファンドなどの政府系投資機関が中心で、これまでマーケットで活発に取得してきた外資系法人は「売り」に回っている。ファンドバブルといわれた時代と同様の傾向だ。

 国内勢でもJ-REITに替わって存在感を高めているのが、私募ファンドや私募REITである。J-REITが取引のヒートアップで投資できなくなると、ファンド会社が私募ファンドを組成し、物件取得に走る。この傾向もファンドバブル時代によく見られた。

 不動産への投資を支えるのがマネーだ。国内銀行による不動産業向け貸し出し残高は、2018年9月末で78兆2000億円になっている。こうした傾向は日本だけのことではない。プレキン社(ロンドン)の発表によれば、世界での不動産投資ファンドの投資枠は2018年10月現在で2890億ドル(32兆円)にまで拡大を続けている。アメリカのブラックストーングループはアジアの不動産投資用に約70億ドル(7700億円)の資金を投資家から集めたと発表している。

牧野知弘/オラガ総研代表取締役

牧野知弘/オラガ総研代表取締役

オラガ総研代表取締役。金融・経営コンサルティング、不動産運用から証券化まで、幅広いキャリアを持つ。 また、三井ガーデンホテルにおいてホテルの企画・運営にも関わり、経営改善、リノベーション事業、コスト削減等を実践。ホテル事業を不動産運用の一環と位置付け、「不動産の中で最も運用の難しい事業のひとつ」であるホテル事業を、その根本から見直し、複眼的視点でクライアントの悩みに応える。
オラガ総研株式会社

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