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六代目山口組で「巨星落つ」…武闘派・後藤組を支えていた良知組長が逝去、その在りし日の姿

文=沖田臥竜/作家
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六代目山口組で「巨星落つ」…武闘派・後藤組を支えていた良知組長が逝去、その在りし日の姿の画像1在りし日の良知組長

 五代目山口組を継承し、2005年に発足され、司忍組長が社会不在のなかでも盤石な組織運営を行っていた六代目山口組に、2008年、突如激震が走る事態が起きた。

 それは五代目体制時から隠然たる影響力を持ってきた大物親分、後藤忠政元組長が(元後藤組組長)六代目山口組から除籍されたのである。理由は、病気を理由に本部での定例会を欠席しながら、一方でゴルフコンペを行うなど、執行部軽視の姿勢が問題視されたからとされる。

 この事態に業界関係者のみならず、大手新聞社までもが事の成り行きに注目した。除籍という厳しい処分が下った背景には、執行部内での権力争いが存在するのではないかと思われたからだ。事実、六代目山口組内でも後藤元組長に対する除籍処分に異を唱える直参組長13名が、上層部に連判で抗議しているという怪文書まで流れ、一時は下部組織に至るまで緊張状態になったのである。

「もしかすると山口組が割れるのでは……」

 そんな声も出てくるなか、まもなく後藤元組長が渡世から引退することで事態は沈静化した。その際、構成員1000人を超えるといわれた後藤組の巨大な組織や地盤は、同組で若頭を務めていた良知政志・良知組組長と最高幹部のひとり、塚本修正・藤友会会長が六代目山口組の直参へと昇格することによって、受け継がれることになったのだった。

 その良知組長が3月15日、闘病生活の末に静岡県内の病院で他界したのである。

「良知組長は六代目山口組直参昇格後、すぐに幹部へと登用されたのですが、6年ほど前に病気のために辞任。その頃から健康状態が不安視されていました。最後に六代目山口組の行事に出席したのは、去年12月13日に総本部で執り行われた事始め式になります。今年に入る体調が悪化、一時は危篤状態になったといわれ、六代目山口組の直参組長が良知組の本拠地がある静岡県に入りました。その後、いったんは意識を取り戻したものの、再び危篤となり、帰らぬ人となったようです」(ジャーナリスト)

なんでもないようなやり取りが記憶に残る

 筆者が初めて良知組長を見たのは、数年前の総本部で行われた毎年恒例の餅つき大会で、同じく旧後藤組から直参へと昇格を果たした塚本会長と仲睦まじく餅をついていた時だった。その後も筆者が親分のお供で総本部へ行った際には、何度か見かけることがあったのだが、そのなかで今でも鮮明に覚えている場面がある。

 六代目山口組の定例会に親分に代わり代理出席した時のこと。開催までの時間、親分衆らは総本部の玄関前で談笑や一服をされていた。筆者はひとり直立して、定例会のスタートを待っていたのだが、その近くでは良知組長や塚本会長を含む、関東に拠点を構える親分衆らが談笑していたのだ。話題は、暮れに迫った忘年会でのカラオケ大会についてであった。

 塚本会長がある親分に、「カラオケ大会ではこの曲を歌ったらどない?」と陽気に問いかけると、直参に昇格して間もなかったその親分が、「直参に昇格したばかりなのに、歌なんて歌えない」といった旨の回答を苦笑いしながら行っており、あたりは和やかな雰囲気に包まれていた。

 そんななかで良知組長が塚本会長に「兄弟、車にタバコを忘れてきたので1本ちょうだい」と言うと、塚本会長が「なんや兄弟、タバコ辞めたんやなかった?」と言いつつ、良知組長にタバコを1本差し出したのだ。

 たったそれだけのことだったが、筆者のような二次団体の組員、つまり枝の組員からすれば、そういった親分衆の何気ないやり取りさえも記憶に残るものなのである。2人の親分衆の姿を見ながら、この人たちが武闘派として鳴らした後藤組の最高幹部を務めた人たちかと、感慨深くなったものだ。

「ワシらは関西に拠点を構えて活動しているので、同じ山口組といえども、関東の二次団体のことはあまりわからない。そのワシらでさえも、五代目時代から後藤組には良知組という組織があり、後藤組の勢力拡大に貢献してきたことは聞いて知っていた。直参へと昇格する以前から、良知組は武闘派として知られた組織だったということだ」(六代目山口組系幹部)

 晩年は病と闘いながらも、六代目山口組のために尽力してきたと高く評される良知組長。その告別式は18日12時30分から、静岡県にある良知組本部で、全国から六代目山口組の直参組長が参列し、しめやかに執り行われたのであった。

(文=沖田臥竜/作家)

沖田臥竜/作家

沖田臥竜/作家

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

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