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レオパレス、ほぼ全建物に施工不良の疑惑浮上…他の“問題ある”レオパレスに移転の人発生か

文=小林紘士/不動産ジャーナリスト
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レオパレスからレオパレスに移転した入居者は大丈夫か

 また、2018年6月(同年5月の問題公表)以降の入居者の移転についても3月18日に公表されており、2月7日の施工不良問題公表以降では2月28日時点で、その施工不良を理由とする退室予約数は1337件(他のレオパレス物件へ移転631件、他社物件へ移転706件)となっている。追って、3月23日付で「当社管理物件の天井部施工不備が確認された物件に関するお住み替え状況について」も公表され、2月8日時点で住み替えの必要な方が4518人いた。そのうち、3月22日時点で住み替えが完了した方は1139人、住み替えが決定した方1513人、調整中が1866人となっているが、レオパレスへ移転したかは記載がない。

 3月18日公表の数字と同22日公表の数字は重複しているものがあるので、正確な数字は今後の公表を待たないとわからないが、2月7日に同社が公表した際、早急に改修が必要な天井の補修工事を伴う641棟の7782人には退去を要請するとしていたので、まだ対象となる入居者の移転には、しばらく時間がかかることは間違いない。

 ここでまた新たな問題として懸念されるのは、移転先が再度レオパレスとなった入居者だ。仮に、2月7日時点で問題があったとして、移転が進められた物件から、今回新たに施工不良の疑いが出てきたほかのレオパレスシリーズに移転した入居者がいたとすれば、その人は再度移転を迫られることもあり得る。他社の物件に移転したから良いというわけではないかもしれないが、少なくとも問題の多発している同社の物件に移転することに、こうした懸念が付きまとうことは否めない。

 今回の問題で被害者となった入居者には、安心した住まいに移転してほしいと願うばかりである。

85%のオーナーがレオパレスに「理解」の裏側

 一方、3月14日には、オーナー説明会に関するレポートも同社から公表されている。ここで気になったのは、今回の施工不良問題に関するオーナーアンケートの集計結果だ。同社の説明を受けて、「理解できた」「概ね理解できた」とするオーナーがアンケート回答者の85.50%を占めている点である。あくまで説明会に参加した方で、さらに任意でアンケートに回答した方であるが、果たして実際にレオパレスシリーズのオーナーの85%も、同社の説明に理解を示しているのか、疑問が残る。

 ともあれ、このレポートを読んでいて思うことは、家賃保証(サブリース)や管理面でどうしてもオーナーは同社に頼らざるを得ないため、オーナーは概して同社寄りになっているということだ。同社の経営不振は、そのままオーナーの死活問題に直結する。従って、オーナーは同社寄りであることは仕方ないのかもしれない。しかし、入居者の不幸を考えると釈然としない。やはり、この問題の最大の被害者はオーナーではなく、入居者なのだと思う。この先、入居者にこれ以上の不都合が起こらないことを願うばかりだ。

 外部調査委員会は、「5月下旬をめどに、本件不備の原因分析、再発防止策の提言及び関係する役員(退任した者を含む。)の責任についての検討結果をレオパレス21に報告する」としている。問題を最小限に食い止めようと、小出しに事実を認め、それ以外は大丈夫であるかのように隠蔽する、また自ら公表することがないという同社の体質は、もう治らないと考えるしかない。

 組織的に行った不正であるなら、5月の外部調査委員会の報告次第では、同社への行政処分は免れないだろう。最低でも、一定期間の業務停止処分はあるはずだ。これが中小企業の起こした問題であれば、建築免許取り消しなどの処分があってもおかしくないが、上場企業のため影響が大き過ぎて、厳しい処分は出ない可能性が高い。だが、釈然としない処分では終わらせてほしくない問題である。
(文=小林紘士/不動産ジャーナリスト)

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