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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

一部の養殖サーモンに要注意?ダイオキシン検出量が11倍の例も、エサに豚肉や植物油脂

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

魚を食べるメリットとデメリット

 そんななか、食肉の消費量は相変わらず増えています。独立行政法人・農畜産業振興機構の調べによると、日本人1人当たりの食肉(牛肉・豚肉・鶏肉)年間消費量は、1960年に3.5kgだったのが、2013年にはその約10倍近くの30 kgにまで増えているそうです。一方で、日本人の主食であったはずの米は115kgから 57 kgに減少。同時に魚介類の消費量も減少しているそうです。

 そもそも、動物性たんぱく質をそれほどたくさん摂る必要はなく(食事全体の10%でよい)、また現代の食肉生産はさまざまな問題を孕んでいるということは、本連載で繰り返し述べてきたので、ここでは触れませんが、同じ動物性たんぱく質を摂るなら、獣肉よりも魚肉のほうがいいとは、よくいわれることです。特に妊娠中の女性には積極的に食べていただきたい食品のひとつが魚です。それは、お魚に含まれるオメガ3脂肪酸系列のEPAやDHAなどの脂肪酸が胎児の脳の発達に良い影響を与えるからです。スペインの環境疫学研究センターの調査で、妊娠中に魚を多く食べた女性が産んだ子供は、認知機能テストで高得点を記録し、発達障害の発生も少ないことがわかっています。

 ほかにも、魚を食べることのメリットはたくさんありますが、逆にデメリットはといえば、魚に毒性のある重金属類が含まれていることです。近海で獲れる魚より、遠洋で獲れる魚のほうが、より危険度が高いとされています。

 養殖魚は、すべてとはいいませんが、危険なものが多いと思います。特に養殖のサーモンは要注意です。エサとしてトウモロコシ、大豆などの安価な穀物が使われ、加えて豚肉や鶏肉を加工したものや、大豆油やキャノーラ油などの植物油脂も使われています。もともと鮭がそのようなものを好んで食べていたとは到底考えられないので、鮭に合わないものを無理やり食べさせているわけで、当然、病気にもなります。それを未然に防ぐために、エサには感染症などを防ぐための抗生物質や合成ビタミン、もともと白身魚であるサーモンの身を鮮やかなピンク色にするために加えられる合成の着色料(アスタキサンチン)なども添加されています。

 そして、さらに憂慮すべきは、養殖のサーモンには、ダイオキシン類やPCB(ポリ塩化ビフェニル)などの環境汚染物質も大量に含まれていることです。天然の鮭と比べて、ダイオキシンは11倍、PCBは16倍も多く検出されたという報告もあります。エサとして使われた穀物が含む農薬成分も魚の中に取り込まれてしまいます。

 このような養殖のサーモンは、本来、魚を食べる場合のメリットのひとつである、オメガ3脂肪酸は極端に減少し、オメガ6脂肪酸が増大する傾向にあります。それが、食べた人の体内での脂肪酸バランスを狂わせ、不健康な状態をもたらすということに、早く、多くの方に気づいていただきたいものです。

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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