「公営掲示板の山口那津男・公明党代表のポスターに『公明党』の文字がないんですよ」
今回の参院選(7月21日投開票)関係者の間で、驚きの声が上がっている。確かにポスターを見ると、山口氏の顔写真と同じくらいの大きさで「山口」の文字はあるが、その周囲には「生活者の声 日本の政治の真ん中に」「参議院議員候補 東京都選挙区」と小さな文字で書かれているだけで、政党名はない。ネット上でも話題になっており、「自民党の信濃町支部になったんか?」と揶揄するツイートも上がっている。
各戸に配布される選挙公報でも、かろうじて「公明党」の文字が小さく書かれているものの、党代表なら明記するだろう「比例代表は公明党へ」という呼び掛けがない。
「山口さんが公明党代表だということは支持者に浸透しているものの、参院選の東京都選挙区の候補者だということが思ったほど知られていない、という党の調査結果に危機感を覚え、『東京都選挙区では山口』という印象を強めることにしたようです」(公明党関係者)
山口氏は今、前述のような揶揄に神経を尖らせている。参院選の公示前後から、安倍晋三首相との違いをことさら強調しているようにもみえる。安倍首相が参院選について、「憲法について議論する政党か、議論しない政党かを選ぶ選挙」と改憲の争点化を図ったが、山口氏は報道各社のインタビューで「『議論しない』と公然と主張する政党はあまりない。有権者には響かないのではないか」とバッサリ切り捨てた。
10月に10%に引き上げられる消費税率についても、安倍首相が日本記者クラブ主催の討論会で「今後10年ぐらいの間は上げる必要がない」と発言したことに対し、山口氏は翌日、安倍首相が10年後に在任中かわからないとして、「責任ある発言とは受け止めきれない」と同調しなかった。
「創価学会、特に婦人部対策なのでしょう。与党とはいえ、タカ派の安倍首相にただ付いていくだけの自公ベッタリ路線に、婦人部の不満が溜まっていると聞きます。公示直前に、安倍首相が大阪城の復元時にエレベーターを付けたのは『大きなミス』と発言し、障がい者対策やバリアフリーへの疎さをさらけ出したり、夫婦別姓について『経済成長とは関わりない』と発言したこともマイナス。婦人部には参院選で実働部隊になってもらわないといけないので、あえて山口代表は安倍首相に距離を置く発言をしているのではないか」(学会事情通)
恐れる“最下位当選”
その一方で、安倍首相は11日に福岡で、14日に兵庫と愛知で、公明党の候補者を応援する街頭演説を行った。自民党として公明候補を推薦しているとはいえ、自党の候補者がいる選挙区に党首まで入って他党候補を応援するのは異例のことだ。