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和歌山市、小中学校でも“ツタヤ図書館化”を計画…市民がCCCへの委託反対署名活動

文=日向咲嗣/ジャーナリスト
【完了】和歌山市、小中学校でもツタヤ図書館化を計画…市民がCCCへの委託反対署名活動の画像1
和歌山市役所(「Wikipedia」より)

 和歌山市は小学校まで“ツタヤ化”するのか――。そんな事態が突然、表面化したのは、5月半ばのことだ。

 今冬、南海電鉄・和歌山市駅前にオープンが予定されている新市民図書館は、全国でTSUTAYA(ツタヤ)を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が、管理・運営を担当する。「関西初のツタヤ図書館誕生!」と喧伝されるなか、和歌山市では市民図書館にとどまらず、市内の小中学校に設置されている学校図書館の運営までCCCに委託しようとしている、との情報が駆け巡った。

 しかし、いくら調べてみてもそのような事実は、どこからも発表されていない。ガセネタなのかと思っていたところ、数日後に教育委員会の関係者が、あっさりとその事実を認めた。

「来年度から、CCCのスタッフに市内の小中学校全校を回ってもらう方向で調整していると聞いています」

 だが、この情報を受けて一部の地元市民が猛反発した。

「市民図書館がツタヤ方式の運営になるだけでもとんでもないのに、そのうえ学校にまでCCCが入り込んでくるなんて、絶対に許せません。CCCが学校図書館まで受託したら、教育現場で子供たちにTカードの勧誘をするでしょう。教育現場で企業が自社ビジネスを展開するなんてことは、あってはならないことです」(地元市民)

 現実に、ツタヤ図書館第1号となった佐賀県武雄市では、一部の小学校の教室で、全児童にTカード加入の勧誘した“前科”があるだけに、そんな声を「単なる杞憂」とは笑い飛ばせない。おまけに、同社は今年2月、100%子会社で基幹事業のツタヤが違法な虚偽広告を行っていたとして、消費者庁から1億円を超える課徴金を課せられたばかりだ。そんな企業が学校教育にかかわるのは容認できないとの声が出てくるのも、無理もないだろう。

 ところが、新市民図書館の開館準備を担当している責任者に筆者が取材すると、前出の教育委員会関係者と異なる発言をした。

「確かに、CCCさんに学校図書館についても支援してもらえるよう交渉中なのは事実ですが、まだそんな話(市内全校にCCCのスタッフを派遣)にはなっていません」

 だが、さらに話を聞いてみると、「とりあえずモデル校を数校決めてテストしてみた結果によって、何校回ってもらうかを決める予定です」と言い出した。つまり、CCCが学校図書館を委託することは、未定どころか既定路線なのだ。まだなんの手続きも経ていないはずなのに、である。

 現在、和歌山市には、市立の小・中学校合わせて約70校あるが、専任の学校司書が常時配置されている学校はゼロ。5年前から、市に直接雇用された非常勤司書1名が市内3校(うち小学校2校)のみ巡回している状況だ。

手続きなしで学校図書館をCCCへ委託

 学校図書館に対しては、2017年度から国の政策で1.5校に1人、学校司書を雇用して配置するための補助金が出ている。それにもかかわらず、和歌山市はその予算をほかの事業に流用していているのが実情なのだ。そうしたなかで、新市民図書館の指定管理者になったCCCに、ついでに学校図書館の運営も任せようとの腹づもりらしい。

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