「私も同じようなことを本に書いてきたんですが、私は親日派だとか売国奴だとか言われて、韓国語に翻訳されなかったので、ただ一方的に批判されるだけでした。私の本の内容を何も知らないのに批判していたんです。でも、日本が韓国をホワイト国から除外したことで、韓国での日本に対する印象はかなり変わりました。それまで、日本はこんなにすごかったのか、韓国はこんなにもろかったのかという、その事実を韓国人はほとんど知らなかった。あのサムスンですら、日本なしでは何もできなかったことがわかった。それで、多くの韓国人はショックを受けている。反政府運動をしている人たちの中には、日本とは仲良くしていかないといけないと、あっちこっちで言うようになってきた。前と違った動きが起きているのです。これは、韓国にとって大きな変化といえます。

 今の反日運動はおそらく長続きしないと思います。これまで知らなかったことを知ったショックのほうが大きくて、いずれ限界にぶつかると思います。李教授の『反日種族主義』はかなり売れていて、日本統治時代は悪くなかったということがどんどん知られてくる。また、半導体の材料やさまざまな製品の部品を日本に頼っていることが知られるようになれば、今の反日意識だけではもうもちません。韓国が今回GSOMIA(軍事情報包括保護協定)を破棄したことも大きな打撃です。反日を煽って来年の総選挙に利用しようという狙いも、このままだと経済のほうが先にダメになる。今の大統領も来年の春までには、どんなかたちかわかりませんが終わると思います。それで韓国は立ち直れないくらい大変なことになる。それでやっと韓国人は気づくことになる。今回は、いろんな問題で日本が強く出てきたことが大きい。今まではなんとかなるだろうという、日本に対する甘えが韓国にあったということです」(同)

『反日種族主義』がベストセラーとなった8月初旬、韓国の左派系テレビ局MBCが李氏を自宅で直撃取材した際、記者が暴行を受けたと報じた。李氏は「マイクを突きつけてきたので殴っただけ」と正当防衛を主張している。また、8月21日には韓国の市民団体「愛国国民運動大連合」が同書の著者である李氏ら3人を、従軍慰安婦被害者の名誉を毀損した疑いでソウルの警察署に告訴したが、それ以外には表立った動きはまだない。

 李氏ら保守派の発言を受けて、新たに「アンチ反日自由韓国人闘争本部」なる団体も誕生。今後、従軍慰安婦少女像と徴用工像を撤去する活動を開始するという。ソウル市中心部の大型書店では、8月最終週も同書が総合ランキング1位になっている。同書の部数と韓国での反日の声は、どのように連動するのだろうか。

(文=兜森衛)

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