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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

中国、建国以来最大の危機…香港「独立」問題が浮上、年末に米中貿易戦争が最悪の状態に

文=渡邉哲也/経済評論家

 また、8月に人民元が1ドル=7元台と11年ぶりの安値を記録したことを受けて、アメリカは中国を「為替操作国」に認定した。アメリカが貿易相手国を為替操作国に認定するのは25年ぶりだ。トランプ大統領は選挙期間中から中国の為替操作国認定をうたっており、いわば選挙公約を実現しただけにすぎないが、18年7月から米中間で制裁関税のかけ合いが続くなか、米中経済戦争は貿易摩擦から通貨戦争という新たなフェイズに突入したといえる。

 01年の世界貿易機関(WTO)加盟以来、中国経済は急激な発展を遂げてきたが、その綻びがあらゆる面で健在化してきたことは周知の通りだ。これまで、欧米をはじめとする資本主義社会は「中国も、やがては社会主義から資本主義に移行するだろう」という前提で付き合ってきた。しかし、グローバリズムの恩恵を受けて発展してきたはずの中国は、習主席が「新時代の中国の特色ある社会主義思想」を打ち出し、建国100年となる49年には「社会主義現代化強国」を目指すと宣言するなど、いわば“先祖返り”をしている。

 そして、中国は産業政策「中国製造2025」を成長の旗印にすると同時に、南シナ海に建設した人工島の軍事拠点化を加速させ、今夏には初めて南シナ海で対艦弾道ミサイルの発射実験を断行するなど、経済的にも軍事的にも覇権国家の地位をアメリカから奪おうとしている。一方、アメリカは政府および議会が一丸となって中国潰しに注力しており、その過程で勃発したのが米中貿易戦争だ。

 米中貿易戦争については短期的視点と中長期的視点の両面で見る必要があり、短期的な融和があったとしても、中長期的には中国の共産党独裁体制が崩壊しない限り、完全な融和はあり得ない。そして、共産党独裁体制の崩壊=中国の繁栄の崩壊であるため、中国共産党が認めるわけがないという構図になっている。今後、香港問題の悪化や偶発的な軍事的衝突がない限り、アメリカとしては自国の経済への影響を見ながら、ゆるやかに市場の分断を図っていくのだろう。

(文=渡邉哲也/経済評論家)

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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