安倍政権、ゲノム編集食品の非表示を容認へ…安全性不明なまま、消費者団体の反対を無視
9月19日、消費者庁は「ゲノム編集」技術で開発した食品について、食品表示を義務化しないことを決定し、通達を行いました。ゲノム編集食品を取り扱う各社のホームページなどで任意の情報を開示することは求めるものの、あくまでも消費者庁からの要望であり、情報提供を行わない場合でも、罰則などはありません。ゲノム編集食品に対する消費者庁としての見解は、「安全面では従来の品種改良と同程度のリスクであり、科学的にも見分けられない」というもので、諸外国の見解とは大きく食い違うところもあります。
ここで起こる疑問のひとつは、ゲノム編集食品が従来の品種改良と同程度のリスクなのか、遺伝子を切り取って箇所を移動しても大したリスクではないと誰がどうやって判断したのか、そのことにリスクがないということを判断するためには、ゲノム編集食品を何年か食べ続けてその経緯を見なければわからないはずではないのか、というものです。
もうひとつ、今の科学で見分けられないからリスクが低い、というのは正しい判断なのだろうか、今の科学はそこまで発達したと思っているのだろうか、そうだとしたらそれは科学者の思い上がりではないのか、我々の科学は未熟なものではないのか、という疑問もあります。
ゲノム編集食品について、消費者団体などは食品表示を強く求めていますが、その声を無視するかのように、早ければ年内にもゲノム編集食品は市場に流通する見込みです。
ゲノム編集というのは、遺伝子の狙った部分を操作し、効率よく品種改良した食品のことです。たとえばトマトに含まれている特定の栄養素の量を増やしたり、収穫量の多いイネをつくったり、真鯛などをゲノム編集して肉付きの良い魚を育てたりというような開発が、実際に進んでいます。
筆者は、どうにも気味が悪いと思ってしまいます。なぜなら、ゲノム編集食品の安全は確認されているとは言いがたいからです。しかし、このことに無関心な消費者は、何も考えることもなくゲノム編集食品を手にすることでしょう。まさか国が、国民の健康を害するようなものを販売することを許可することなどないはずだ、と盲目的に思い込んでいるかもしれません。実際には、そのようなことはなく、国は国民の健康には無関心です。それは「水俣病」の一件でも明らかです。
水俣病は、1956年に公式発見されましたが、それから60年以上たっても収束には至っていません。国は水俣病が公害病であるということを長らく否定し続けていました。そのことが、解決をも長引かせるひとつの要因となっています。原発事故の問題も、国が自らの責任を認めるかどうかが、解決の道を歩みだすのか、はたまたいつまでも解決せず、被害を受けた人たちがつらい思いをし続けるのかの分かれ道になります。
ほかにも、古くは「足尾銅山事件」なども、国策を最優先とし、国民の健康は二の次、三の次とする国の姿勢がはっきりと見えます。ですから、私たちは、国は国民の健康などに関心を持っていない、という前提に立って物ごとを考えていかなくてはなりません。
日本の食料廃棄率は世界一
私たちはそのような食品を、なぜ食べなければならないのでしょうか。それを考えてみましょう。
ゲノム編集食品であれ、遺伝子組み換え食品であれ、どうしてそれらを生産するのか、というところが第一の疑問ですが、それはモノを大量に生産し、大量に流通させ、大量に販売して、多大な利益を得ようという思惑があるためです。利益を上げようとする企業側の、いわば欲望に根差しています。
そこに、人々を不健康に陥れ、そのために発生する医療費で多大な利益を得たいと考えている、これまた陰湿な欲望が絡んできます。