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飛田砂織「100年寿命時代のウェルネスビーイング」

医師が教える、加齢とともに「眠りにくくなる」原因と効果的対処法

文=飛田砂織/クリニックシュアー銀座院長、医師・医学博士
医師が教える、加齢とともに「眠りにくくなる」原因と効果的対処法の画像1
「Getty Images」より

 年齢とともに、寝つきが悪くなるという話をよく聞きます。朝スッキリ起きられない、夜なかなか寝つけない、夜中に何度も目が覚めるなどは、一般的な不眠症状ですが、ちょっとしたことを注意するだけで改善することがあります。

 まず考えられるのは、メラトニンというホルモンが不足して体内時計が狂っている可能性があります。メラトニンは脳の視床下部の刺激により、松果体から分泌されます。日が沈み、暗くなると数時間の間に分泌が活発になり、メラトニンが増えると眠くなります。メラトニンは体内時計をつかさどるといわれており、海外に行くと起こる体内時計と現地のギャップによる時差ぼけの対策として、サプリメントとして利用されている方もいます。

 また、秋から冬にかけて気分の落ち込みが見られる季節性感情障害(SAD)ですが、冬場の日照時間の減少が主な原因と考えられており、できるだけ日に当たることや薬物療法、認知行動療法などが治療として挙げられますが、メラトニンを補充することで症状の軽減が得られる場合もあるようです。

 実はメラトニンも他のホルモンの例にもれず、加齢とともに減っていきます。良い睡眠を取るための方法の一つとして、適切な室温で適切に深部体温が下がるため就寝90分くらい前に入浴するのが大切だといわれています。睡眠前にスマートフォンやテレビ、LEDなどの明るい照明などを避けたほうがよいのは、メラトニンの適切な分泌を減少させてしまうからです。加齢とともに適切な体温調節がしにくくなること、そしてメラトニンの分泌が減ることも、睡眠障害が起こる原因のひとつと考えられます。

 メラトニンは、一般的には30代後半から減ってくるといわれています。また、睡眠障害が顕著に見られるようになるのは60代くらいからが多いという印象ですが、実は深い眠りであるノンレム睡眠の割合は、30代後半になると減る傾向にあるといわれています。私たちが睡眠障害を実感するようになるよりずいぶん以前から、睡眠の質が変化している可能性があるのです。

寝具選びも大切

 睡眠に関する研究は日進月歩で、睡眠が適切に取れていることが健康にとってとても大切であることが研究によって示されてきています。たとえば、睡眠障害と高血圧、耐糖能異常、免疫力の低下、悪性腫瘍のリスク上昇との関連などが指摘されています。小児期の睡眠と脳機能の発達についても研究が進んでおり、大人だけでなく、お子さんの健康や脳の発達にとっても適切な睡眠は大切なのです。

 よく眠るには、体に合った寝具を選ぶことも大切です。たとえば、通気性の良い枕は熱がこもりにくく、体温調節機能が低下している高齢者は眠りに入りやすくなることが期待できます。筆者も最近、肩こりや寝起きの腰痛があり、個々人の特徴に合った枕を選んでもらえるロフテー枕工房を訪れました。専門家の方が、後頚部の首の湾曲の深さなどをみて枕を選び、それを試しながら多角的に自分に合う枕を選ぶことが可能です。私の場合は、自分で思っていたより高さの低い枕のほうが首にフィットして楽に眠れることがわかりました。起床時の腰痛も改善したように感じています。

 どうもしっかり眠れていない、朝起きたときに眠れた気がしない、という方は、一度ご自身の枕が体に合っているか、確認されてみるのもよいのではないでしょうか。

飛田砂織/クリニックシュアー銀座院長、医師・医学博士

飛田砂織/クリニックシュアー銀座院長、医師・医学博士

美容皮膚科医・アンチエイジング医師 医学博士
東京女子医科大学附属成人医学センター非常勤講師(美容皮膚科)
群馬大学医学部卒業。東京大学などの救命救急センターで救急医として働いた経験や、激務で肌のトラブルを経験したことから、健康を保つための予防医療、美容皮膚治療の大切さを痛感。
日本初のレーザーなどの美容皮膚治療に特化した大学附属の美容皮膚科、東京女子医科大学附属青山女性医療研究所美容医療科(現在は成人医療センターに移転)助教(のち非常勤講師)を経て、2015年に、自らのクリニック、美容皮膚科・アンチエイジングクリニックである『クリニックシュアー銀座』を開設。

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