新型コロナウイルスの感染者が大量発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の問題で、橋本岳厚生労働副大臣(岡山県第4選挙区、衆議院議員)がSNS上で不可解な投稿を繰り返し物議を呼んでいる。
橋本副大臣は19日、自身のTwitterアカウントで、船内の状況を告発した神戸大学医学研究科感染症内科教授の岩田健太郎氏に対し「検疫中の船舶に医師が侵入した」と投稿し、物議を醸していた。一方で、岩田氏が告発した「船内では『レッドゾーン(感染危険地帯)』『グリーンゾーン(安全地帯)』のゾーニングができていない」との指摘には、Twitterの投稿などで「ただ実際に職員の感染が判明してしまった状況の中で、完全なコントロールができていると申し上げることはできません」と一部に不備があったことを認めていた。
ところが20日、橋本副大臣は再び自身のTwitterアカウントに意図が不明瞭な内容を投稿した。投稿には、「不潔ルート」と張り紙がされた船内の模様を示す写真を添付。一見、レッドゾーンとグリーンゾーンに区別されているかのような写真だったが急遽、削除された。
隙間のある船内隔離写真を投稿、即削除
橋本副大臣が写真を投稿したのは20日午前11時。「ちなみに、現地はこんな感じ。画像では字が読みにくいですが、左手が清潔ルート、右側が不潔ルートです」との説明とともに、中央が壁で仕切られた部屋の入口の写真を投稿した。左側の扉に黒字で「清潔ルート」、右側が赤字で「不潔ルート」と書かれた紙が貼られていた。
しかし、よく見るとあちこちに隙間があり、隔離は不完全なように見える。岩田氏はTwitter上で、橋本副大臣の投稿に対し「この手前(写真撮ってるとこ)が清潔不潔が完全にクロスするゾーンになる、ということがおわかりいただけますでしょうか」と批判。午後1時ごろに投稿は削除された。
一連の橋本副大臣の動向に、自民党関係者は次のようにぼやく。
「重要な任務を担っていることは理解できますが、SNSに何か書き込む時間があるのであれば、自分の仕事に専念されたほうが良いのではないでしょうか。おかげで加藤(勝信厚労相)さんが今日も野党の追及にあい、国会でまた無益な時間が費やされています。持論、自説を展開するのは結構ですが、時期を考えていただきたい。現場の官僚や医師が能力を存分に発揮できるよう環境を整えることに注力して、なにかあったら黙って責任を取る。器の大きい政治家になってほしいものです」
橋本副大臣は故橋本龍太郎元総理の次男。当選4回の竹下派中堅議員で、自民党岡山県支部連合会会長を務める。ちなみに加藤厚労相も岡山県が地盤だ。
加藤厚労相は衆議院議員になるのにあたり橋本龍太郎氏から誘いを受け、無所属から自民党に鞍替えして初当選した。橋本家には恩義がある。恩人の息子の橋本副大臣には、論客としてではなく、政治家として結果を残すことを求めているようだが果たして…。
(文=編集部)