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さんきゅう倉田「税務調査の与太話」

無店舗型の性風俗店、税務申告せず営業→重加算税+延滞税+無用な消費税まで追徴!

文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人
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「Getty Images」より
「Getty Images」より

 元国税局職員、さんきゅう倉田です。好きな仕入れは「課税仕入れ」です。

 今回は、無店舗型の性風俗店の税務調査について紹介します。

 ある地方に、無申告のまま営業している風俗店がありました。書類上は「無店舗型性風俗特殊営業」というようです。風俗業界の申告率が低いのは、税金について詳しくない方でも想像に難くないと思います。

 今回の事案では、無申告だった上に帳簿も作成していませんでした。帳簿がない場合、通常は、帳簿を作成するために使用する請求書や領収証控えから売上を計算します。しかし、それすらなかったらどのように計算するのでしょうか。推計で算定し、課税することとなります。

 その推計に納得がいかなければ、「もっと売上は少なかった」とか「経費はもっと多かった」などと主張することもできます。「それなら証拠書類を保存し、帳簿を作成しておけばいいじゃないか」などと野暮なことは言いません。「盗人にも三分の理」があるように、彼らにも理があるのでしょうか。

 調査にあたっては、まずはコンパニオンへの報酬を確認したそうです。店はコンパニオンと業務委託契約を締結しており、コンパニオンは業務を遂行した都度、客から金銭を受領し、自分の報酬を引いた残りを店に渡していました。

 なお、コンパニオン報酬は次の4つから構成されています。

(1)基本料金
(2)追加的な役務提供(オプション)に対して客から受領する追加料金の全額
(3)客から指名を受けた場合の指名料の全額
(4)その他、客から受領した金品

 つまり、店舗は基本料金の何割かを受け取り、オプション料金、指名料、チップは、コンパニオンが全額受け取ることができるシステムのようです。このシステムだと、所得税を源泉徴収していないと考えられます。

 また、コンパニオンをクルマで送迎する運転手は、コンパニオンから店の取り分を受け取り、自分の手当を差し引いて、お店に渡していました。その際に、お金は封筒に入れ、封筒にはコンパニオンを派遣した日付、運転手の名前、コンパニオンの源氏名、派遣時間、指名の有無、派遣先の宿泊施設名、売上金額、運転手の手当の額を記載していました。したがって、封筒から売上や経費を概算できそうです。

延滞税、重加算税、無申告加算税に加えて多額の消費税も

 風俗店の代表者は、消耗品購入時の請求書や領収証、クレジットカードの明細を提示し、経費を主張しました。申告はしないのに、積極的に経費を認めてもらおうと考えているようです。さらに、売上に関してはパソコンで管理しており、そのデータを示しました。

 もちろん、調査担当者は、これらの書類のみでは法人税の所得金額を算定することはできないとして、複数回にわたり帳簿と請求書の提示を求めましたが、「ないものはない」として何も提示されませんでした。

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