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荻原博子「家庭のお金のホントとウソ」

安倍政権は今こそ電気・ガス・水道の「公共料金7000円補助」で家計を下支えすべき!

文=荻原博子/経済ジャーナリスト
安倍政権は今こそ電気・ガス・水道の「公共料金7000円補助」で家計を下支えすべき!の画像1
安倍晋三首相(写真:つのだよしお/アフロ)

 本連載前回記事で、一律10万円の給付時期が7月頃まで遅れる可能性について詳述した。それ以外に目立った経済対策が見当たらない中、家計に安心を与えるための政策として提案したいのが、「電気料金」「ガス料金」「水道料金」の国による一部補助だ。

「電気」「ガス」「水道」は、家庭にとってなくてはならない生活インフラだ。もし、これらの料金が支払えず、どれかひとつでも止められてしまったら、通常の生活を続けることができなくなる。残念ながら、今後は「水道料金も払えなくなった」という家庭が出てくる可能性もあるだろう。そうした事態を避けるためには、新型コロナショックが収まるまで、全額でなくてもいいので、「電気」「ガス」「水道」の料金をトータルで7000円、国が補助してはどうだろう。

 これらの料金はそれぞれの企業が徴収しているので、政府が各企業に「政府が一定額まで負担するので、その分はまとめて政府に請求してください」と言えば、来月からでも安くなるだろう。しかも、各家庭には割引された請求書が届くだけなので、手続きなど面倒なことは一切しなくてもいい。スピーディーで簡単な補助の方法だ。請求書を見て「あら、安くなっている!」と感じたら、安心感も生まれるだろう。

 安くする金額は、「電気代」3000円、「ガス代」2000円、「水道代」2000円の合計7000円。2018年の総務省家計調査では、4人家族の「電気代」「ガス代」「上下水道代」の平均は合計2万2000円。この料金の約3分の1を政府が補助するのだ。

 そもそも、「公共料金」は公共の使命を負っているので、お金のないご家庭ほど安く利用できるように設計されている。たとえば、電気料金は「基本料金」と「使用量」で決まるが、この「使用量」は120kWhまでは「国が保障すべき最低生活水準を考えた設定」なので、1kWhあたり19円88銭。121kWhから300kWhは標準的な一般家庭が使う料金で、1kWhあたり26円48銭。それ以上使うと、1kWhあたり30円57銭とかなり割高になる。お金のある人はたくさん払ってくれ、ということだ(東京電力の場合)。

 なので、「電気」で言えば、基本料金と「国が保障すべき最低生活水準を考えた料金」の範囲で3000円までを政府が肩代わりして払ってあげるのだ。「ガス」「水道」も同様に、最低限のそれぞれ2000円までを政府が払ってくれれば、家計は計7000円も公共料金を安くすることができる。

 各家庭は、政府が公共料金の下支えをしてくれるなら、収入が減ってしまっても一生懸命節約すれば、なんとかライフラインだけは確保することができる。

すでに水道料金の支援を決定した自治体も

 ちなみに、日本の約5800万世帯の「電気」「ガス」「水道」の料金を1世帯当たり月に7000円補助すると、政府の負担額は月4000億円程度。新型コロナウイルスが下火になるまで6カ月かかったとして、その間、毎月7000円ずつ国民の生活を下支えしたとしても、6カ月間の政府の出費は2兆4000億円だ。

 これは、家庭にとっては「みなさんの家庭を政府がずっと見守っていますよ」というメッセージとなり、新型コロナとの戦いが長引く中でも安心感につながるはずだ。

 実は、自治体の中には、すでにこうした試みを始めるところが出てきている。愛知県刈谷市では、外出を控えることで増える「水道代」を危惧し、市民の経済的な負担を軽減するために、水道の基本料金と下水道の基本使用料を5月分の請求から4カ月間、市で負担することにした。大阪府の堺市でも、全家庭と事業者を支援するために6月検針分から4カ月間、水道料金を8割減額すると公表している。

 新型コロナ対策では、政府に比べて、生活の現場に近い自治体のほうが素早い対応をしているように感じるのは私だけだろうか。

 もちろん、今後、家賃補助や社会保険料の減免など、さまざまなことに取り組まなくてはいけないだろうが、「我が国の支援は世界でもっとも手厚い」とおっしゃるなら、安倍首相、少なくとも10万円給付が行き渡るまでの間でもいいので、国民のみんながすぐに一定の安心感を得られる、スピード感のある「公共料金」の下支え政策をお願いしたい。

(文=荻原博子/経済ジャーナリスト)

荻原博子/経済ジャーナリスト

荻原博子/経済ジャーナリスト

大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。家計経済のパイオニアとして、経済の仕組みを生活に根ざして平易に解説して活躍中。著書多数。

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