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住宅ジャーナリスト・山下和之の目

“テレワーク対応型”住宅、続々登場…家族が長時間在宅してもストレスを感じない家

文=山下和之/住宅ジャーナリスト

 新型コロナウイルス感染症はいったん抑え込めたかのように見えても、第二波、第三波を警戒しながら、「新たな生活様式」を確立して備える必要があります。そのため、住まいにも、テレワークしやすい住まい、また在宅時間の長期化でも居心地のいい住まい、感染しにくく、感染の疑いが出ても安全に生活できる住まいなど、さまざまなニーズが求められるようになってきます。

 住宅メーカーや不動産会社ではそうしたニーズに対応した商品開発に力を入れており、消費者にとっても選択肢が増えています。そんな具体的な例をいくつか紹介しましょう。

暮らしながら働ける空間を用意――三菱地所レジデンシャル

 新型コロナウイルス感染症の影響拡大で、テレワークが定着しつつありますが、残念ながら、日本の住まいのほとんどは家のなかで働くことを想定していません。そのため、仕事に集中できないなどのさまざまな問題が浮かび上がっています。

 それを解決するため、三菱地所レジデンスでは、収納スペースをテレワークスペースに無償で変更可能な、「“work” in closet」を提案しています。今年10月から販売がスタートする『ザ・パークハウス武蔵野境南町』(東京都武蔵野市)が対象です。間取り図でWICといえば、ウォークインクローゼットですが、この場合には頭文字は同じWICでも、クローゼットではなく、ワークスペースということです。

 また、『ザ・パークハウス武蔵野境南町』のモデルルームでは、共働き夫婦を想定して、収納スペースを「妻ラボ」に、洋室のひとつを「夫ラボ」に変更、夫婦ともにテレワークできるようなプランを提示しています。ただし、こちらは有料でのオプションになります。

住まいのなかに働く空間をつくりだす『箱の間』――三菱地所ホーム

 注文住宅やリフォームを手がける三菱地所ホームは、移動が容易で、仕切る、囲うなど暮らしに合わせた柔軟な空間づくりが可能な『箱の間』を販売しています。自宅の空間を『箱の間』で仕切って、暮らしながら働く空間をつくることができます。

 肌触りがよく、温度変化の少ない杉材を採用し、触ったときにもぬくもりを感じる木質空間の心地よさを演出してくれます。リビングやサービスルームなどに簡単に設置でき、在宅勤務時のワークプレイスとするだけではなく、子どもの勉強場所や、秘密基地のような存在にもなります。注文住宅建設時に設置するだけではなく、マンションや一戸建てのリフォーム時に導入も可能です。価格は可動式のテーブル付きが67万円、テーブルなしが62万円となっています。

 なお、三菱地所レジデンスでは、2020年7月現在、販売中や販売予定の新築マンション6物件においてこの『箱の間』の設置を推奨、三菱地所ホームの価格より5万円安い価格で提供しています。

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(写真提供:三菱地所ホーム)

自宅の時間を楽しむ住まい――パナソニックホームズ

 パナソニックホームズは『おうち時間を楽しもう』をコンセプトに、同社の一戸建ての全商品を対象とする新販売戦略を展開しています。快適に仕事ができるワークスペース、家のなかでもいっぱい遊べるプレイスペースの提案、さらに、きれいな空気環境を実現するためのオリジナル全館換気システムや全館空調などを用意しています。きれいで快適な温度の空気環境で、仕事も遊びも心地よく過ごせるようにしようということでしょう。

 家庭内での仕事の仕方でも、家族のようすが見渡せるリビングのオープンなスペースへのワークスペースの設置だけではなく、集中して仕事ができる個室や半個室も可能です。また、テントを張れる広めの土間でキャンプ気分を楽しんだり、リビング横の親の目が届くところに保護マットを敷いたボルダリングの壁、ブランコなどを設置して、子どもをのびのびと育てるなどの工夫が込められています。

 在宅勤務、休校、分散登校などで家族が長い時間いっしょにいると、関係がギクシャクして、ややもすると家庭内暴力、児童虐待、果てはコロナ離婚などに発展しかねませんが、そうならずに、家族全員が自宅の時間を楽しめる住まいづくりということのようです。

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(写真・パナソニックホームズ提供)

在宅勤務のニーズに適した環境が揃う建売住宅――小田急不動産

 小田急不動産は第1期、第2期が完売した大規模分譲住宅『リーフィア南大沢ガーデンズ』(東京都八王子市)の第3期販売を7月からスタートさせています。「新型コロナウイルス感染防止対策により高まる在宅勤務ニーズに適した環境が、本物件には揃っています!」というのがキャッチフレーズです。

 最寄り駅は京王相模原線の「多摩境」駅で、徒歩時間は16分ですが、京王相模原線「南大沢」駅からはバス11分+徒歩1分、JR横浜線・相模線・京王相模原線「橋本」駅もバス7分+徒歩7分です。徒歩時間が長かったり、バス便だったりするのですが、在宅勤務ならそれも負担にならないはずです。それでいて、敷地面積170平方メートル台、建物面積100平方メートル前後のゆったりとした一戸建てが、4200万円台から手に入ります。

 広い敷地を活かして、共働きファミリーのための20項目の新発想空間が取り入れられ、家族で天体観測ができるルーフバルコニー、LDKからつながる広い土間や在宅ワークが可能なカウンターなどが設けられています。

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(写真提供:小田急不動産)

在宅勤務のサイバーリスクを入口で守る――ヘーベルハウス

 新型コロナウイルス感染症でテレワークが広がり、在宅で仕事をする人が増えるにしたがって、サイバーリスクが広がると同時に、子どもや家族が複数同時にインターネットに接続することによって、通信速度が落ちるなどの通信環境のストレスが高まっています。

 そこで、ヘーベルハウスの旭化成工業では、『ヘーベルIoH(アイオーエイチ)×DiXiM(ディクシム)Security(セキュリティ)』を開発、6月から同社が提供したヘーベルハウスへの導入を進めています。

 ヘーベルハウス内にある各種のスマート機器を丸ごと守るサービスで、従来のデュアルバンドルーターと異なり、同時に3回線のハイスピード通信を実現できるトライバンドルーターを採用しています。そのため、子どもたちがゲーム機で遊んでいたり、タブレットで勉強しているときでも、在宅ワークで利用するパソコンの回線を同時に確保できます。

 価格は専用の光回線「ヘーベル光」に加入すれば、月額の回線利用料金+200円で利用可能で、初期費用もトライバンドルーター料金申込み時の9000円ですみます。

外出先や自宅のドアを非接触で開閉できる――YKK AP

 新型コロナウイルス感染症を予防するためには、「飛沫感染」「接触感染」を防ぐことが大切といわれています。しかし、私たちの日常生活では外出先や自宅などの出入り口のドアなどの操作が不可欠であり、ハンドルやつまみなどに直接触れる機会が少なくありません。

 そこで、YKK APでは、窓やドアのメーカーとして、接触感染リスクの低減による、安全・安心な暮らしのため、誰でも使いやすく、安心して使用できるハンドツールである非接触ドアオープナー『レスタッチ』を開発しました。写真にあるように、さまざまなタイプのドアノブに直接触れずに開閉できるほか、エレベーターの操作などにも役立ちます。

 YKK APが主催する展示会のアンケートに答えた人に抽選でプレゼントするなど、各種のノベルティ商品として活用されています。

(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)

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(資料提供:YKK AP)

山下和之/住宅ジャーナリスト

山下和之/住宅ジャーナリスト

1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に、新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトの取材・原稿制作のほか、各種講演・メディア出演など広範に活動。主な著書に『マイホーム購入トクする資金プランと税金対策』(執筆監修・学研プラス)などがある。日刊ゲンダイ編集で、山下が執筆した講談社ムック『はじめてのマンション購入 成功させる完全ガイド』が2021年5月11日に発売された。


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