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木下隆之「クルマ激辛定食」

アウディ・新型「Q3」、なぜ日本導入は2年も遅れた?世界から乖離する日本の特殊事情

文=木下隆之/レーシングドライバー
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アウディ新型「Q3」

 アウディ新型「Q3」が、晴れて日本市場に導入されることとなった。Q3としては二代目である。実は、欧州ではすでに発売されている。それも約2年も前のことだ。2018年夏にワールドプレミアされ、11月から街中を走り始めている。やや遅れて投入されたスポーツバックでさえ、デリバリー開始されてから日が経つ。つまり、Q3は本国デビューから大幅に遅れて日本に姿を現したことになる。

 その理由は、2018年9月から開始された、新しい排気ガス基準や公表燃費との関係がある。新燃費試験基準であるWLTPは、国際調和排気ガス・燃費試験法と呼ばれ、それまでのWLTCモードから変更されている。より実走行に近い数値を求めており、高速走行燃費試験データも加えなければならない。

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 だが、日本はまだWLTCモードを採用している。高速道路ですら最高速度が120km/hに抑えられているという特殊な事情もあり、超高速試験が加わっていないWLTCモードである。Q3の日本導入が遅れたのは、WLTPとWLTCとの調整に時間を要したのではないかと推察する。しかも、コロナ騒動が加わった。約2年の遅れは、Q3デビューのタイミングと新基準導入と厄災が影響したのである。

 業界が「Cセグメント」と呼ぶコンパクトSUV市場は、各メーカーが力を入れているカテゴリーであり群雄割拠、ライバルがひしめいている。それはつまり、ドル箱市場ともいえるわけで、そこに割って入る新型モデルの遅れが足を引っ張りかねない。

ただ、欧州ではQ3とスポーツバックの導入に時間差があったのに対して、その約2年の遅れによって、両モデル日本同時デビューとなったのは幸運だったかもしれない。

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 そんなQ3の車形を復習しよう。標準車ともいえるQ3と、それをベースにクーペスタイルとしたQ3スポーツバックがラインナップするのだ。Q3の全長が4490mm、全幅が1840mm、全高が1610mmであるのに対して、ルーフをなだらかにスラントさせたスポーツバックの全長は、Q3より10mm長い。全幅は共通だが、全高は45mmも低い。ホイールベースは共通だから、前後の室内長には違いないが、やや頭上空間と荷室に違いがある。

 アウディジャパンでは、顧客ターゲットを以下のようにイメージしている。Q3は、20代から40代のファミリー層であり、4人家族であろうと想像している。それに対してスポーツバックは、20代から40代の子供なしの夫婦や独身者をイメージしているという。

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 搭載するエンジンはそれぞれ、直列4気筒1.5リッターのガソリンターボと、同じく直列4気筒1.5リッターのディーゼルターボである。前者が150ps、250Nmであり、後者は150psと340Nmとなる。ディーゼルの低速トルクの力強さは想像の通りであり、ディーゼル仕様にも魅力があった。実は、このコンパクトSUVカテゴリーへのディーゼル投入はQ3が初めてであり、それがアウディの訴求ポイントになっている。

 やや遅れてきたQ3は、当たな魅力を備えて日本デビューした。それがユーザーのハートにどう響くか、興味は尽きない。そしてその走りは穏やかであり、20代から40代だけでなく、60代以上のシニア層を加えてもよいのではないかと想像した。子供が巣立ったカップルの足にも合うような気がしたからだ。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

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