
幅広く展開されている楽天グループのサービス。オンラインショッピング大手の楽天市場を筆頭に、楽天トラベル、楽天モバイル、楽天銀行、楽天ブックス、ラクマなどさまざまな分野にサービスを拡大しており、60種以上もある。そして、それらが共通して1ポイント1円換算で使える楽天ポイントを発行していることから、併用するとお得度が増していくのである。そのため、あらゆるサービス利用を楽天に絞っているユーザーも増えている。“楽天経済圏”なる言葉が生まれるほどに。
では、楽天経済圏にどっぷり浸かることで、どういったメリットとデメリットがあるのだろうか。また、たとえば楽天以外にも国内通信キャリア大手3社であるNTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクが楽天に続いて“経済圏”を形成しつつあるが、これらの3社が展開している経済圏のほうが楽天経済圏を上回っている可能性はないのだろうか。
そこで今回は、ロングセラーとなっている『節約家計ノート』シリーズ(東京新聞)を監修している消費生活アドバイザー・丸山晴美氏に、楽天経済圏のメリットとデメリット、そして賢い活用方法について話を聞いた。
楽天経済圏の仕組みとメリット・デメリット
まず前提として、楽天経済圏とはいったいどのような構成で成り立っているのか。
「クレジットカード、トラベル、通信、保険、銀行、証券、電子マネー、書籍など生活に関わるものをすべて楽天ブランド化し、共通の楽天IDを使用してもらい、どのサービスでも使える楽天ポイントを発行しています。生活に根差したさまざまなサービスを楽天が提供しているので、日々利用するサービスを楽天ブランドに絞れば絞るほど、つまり楽天経済圏にどっぷり浸かれば浸かるほど、楽天ポイントが貯まり、お得度を感じやすくなる仕組みというわけです」(丸山氏)
他社でもポイント制度は導入しているが、そのなかで楽天が多くの人に選ばれる理由とは何か。
「楽天がここまで人気なのはやはり“手軽さ”“簡単さ”ですね。そして、楽天カードの存在も大きいです。クレジットカードである楽天カードは、ノーマルタイプだと年会費無料で審査もそれほど厳しくないため、つくりやすいのですが、サービスの支払いを楽天カード支払いにすることで、楽天ポイントがつきやすくなっています。たとえば楽天市場での支払いを楽天カードにするだけでポイント2倍、特定の日にはポイント5倍といった仕組みがあるため、楽天経済圏は楽天カードが核になっているといっても過言ではありません。楽天経済圏でお得になるには楽天カードありきということですね。
ちなみに、楽天カードの競合となるクレジットカードのポイント制度は、ポイントが貯まりにくかったり、貯まったポイントがどこで使えるかわかりにくかったり、使えるサービスが限定されていたりと、仕組みが複雑なことも多いんです。それに比べて楽天カードはポイントを貯めやすく、使える場も多く、シンプルで明解なんですよね。それが“手軽さ”“簡単さ”につながっているんです」(丸山氏)