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片田珠美「精神科女医のたわごと」

大学共通テストの49歳・鼻出しマスク男、過去に頻繁にトラブルか…高いプライドと自己愛

文=片田珠美/精神科医
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「gettyimages」より

 1月16日に行われた「大学入学共通テスト」で、マスクから鼻が出た“鼻出しマスク”の状態で試験を受け、その後失格になった受験生の男性は49歳で、試験会場のトイレに閉じこもったとして、不退去容疑で現行犯逮捕されていたと報じられた。

 この男性は、試験監督者から鼻を覆うよう6回注意されたものの従わなかったため、失格となり、その後試験会場だった大学のトイレに閉じこもった。警察官に説得されたが、説得に応じなかったようだ。そのため、同日午後10時頃、警察官が個室の壁をよじ登り、中に入って現行犯逮捕したという。

「自分の主張が認められずいらいらしていた」と容疑を認めていることから、「反抗挑発症( Oppositional Defiant Disorder )」ではないかと疑いたくなる。これは、怒りや攻撃衝動をコントロールできない衝動制御障害の一種で、病気というよりは気質というべきだろう。

「反抗挑発症」の人は、いらいらしやすく、しばしば腹を立てる。また、権威ある人物の要求、あるいは規則に従うことを拒否したり、反抗したりすることが多く、口論になりやすい。当然、学校や職場などでマイナスの影響が出るが、本人はなかなか直そうとしない。

 こうした特徴は、今回逮捕された男性にも認められる。試験監督者は、試合の審判と同じく、不正や不適切な行為が行われないように監視する役割を担っており、ルールに反した行為を認めれば注意するのが当然だ。また、何度注意しても、受験生が従わなければ、試合でイエローカードが何枚か累積したときと同様に、レッドカードを出し、失格もしくは退場を言い渡すこともできる権威ある人物である。その人物の要求に6回も従わなかったのだから、失格処分を受け、退場になっても仕方がないと私は思う。それが受け入れられず、いらいらしてトイレの個室に立てこもったのなら、まさに「反抗挑発症」ではないか。

 もちろん、「“鼻出しマスク”の何が悪い」と主張する方もいるだろう。だが、募集要項には「マスクを正しく装着するように」と記載されていたし、健康上の理由でマスクを装着できない場合は別室での受験も認められていた。だから、1度注意された時点で、鼻も覆うようにマスクを装着しておけば、こんな騒動にはならなかっただろう。

トラブルをしょっちゅう起こしていた可能性

 そもそも、49歳の男性が今回共通テストを受けたのは一体なぜなのか? 普通は30年ほど前に大学入試を経験しているはずだが、大学を受験できないような経済的理由や家庭の事情などがあったのか? あるいは、当時は18歳人口が現在の倍くらいいて受験競争が激しかったこともあって、志望校に入れず、学歴コンプレックスを抱えていたので、受験人口が減った今再チャレンジしたのか? それとも、どうしても学びたいこと、あるいは取りたい資格があって、一念発起したのか?

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