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住吉会と稲川会で急転直下の和解が成立…仲裁に走り、実現させた巨大組織の親分とは?

文=山口組問題特別取材班
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巨大組織・住吉会と武闘派組織・道仁会が「兄弟」に…ヤクザ社会で活発化する「原点回帰」の動きの画像1
先日、住吉会と道仁会から出された挨拶状。この時の縁組が今回の和解につながった。

 群馬で鳴り響いた銃弾は、関東の巨大組織である住吉会稲川会との間の緊張関係をさらに悪化させようとしていた……。3月4日未明、両団体の関連組織が伊勢崎市内で衝突し、発砲事件までに発展。しかも、その銃弾を受けた被害者が六代目山口組の中核組織である三代目弘道会系組長だっただけに問題が複雑化し、業界全体に注目が集まっていたのだった【参考記事「稲川会と住吉会の緊張度の高まる」】。

「稲川会サイドとしては、群馬県の発砲事件はあくまで、半グレを含む住吉会系列組織との問題だったと認識していたはず。そもそもは稲川会系組織の乗る車両が、住吉会系列組織に取り囲まれ、乱闘に騒ぎが起きた。しかし、そこに介入してきた三代目弘道会系組長に対して稲川会系組員が発砲し、重傷を負わせてしまった。事態を重く見た稲川会系サイドは、六代目山口組上層部を訪れ、話し合いの席が持たれた。結果、稲川会本部が“今後、六代目山口組に対しては銃器を用いたトラブルなどは一切起こしてはならない”“理由如何を問わず些細なことでも六代目山口組とは揉めてはならない”といった通達を傘下組織に出し、和解に至ったようだ。だが、もともと対峙していた住吉会サイドとの話し合いはついておらず、緊張状態が続いていた」(業界関係者)

 そもそも、六代目山口組若頭補佐である三代目弘道会・竹内照明会長と稲川会・内堀和也会長が兄弟分であり、六代目山口組と稲川会が親戚団体だったことも、両組織の和解が比較的スムーズに実現した要因だろう。だが、近年、幾度も衝突を繰り返してきた稲川会と住吉会系列との問題は抜き差しならない状態になっていたのだった。

 ヤクザ同士のケンカや抗争は、矛を収めるのが何よりも難しいといわれている。お互いに面子があるからだ。特に稲川会サイドとしては、これまでの住吉会系列との度重なる問題から一歩を譲る気はなく、問題が悪化すれば、関東の巨大組織同士の抗争に発展する恐れもあるのではないかとまでいわれていたのだ。だが急転直下、その事態は回避されることになる。3月半ば、両組織で和解が成立したのだ。

「その仲裁役を務めたのが、九州の有力組織である道仁会の小林哲治親分だ。住吉会と道仁会は先ごろ五分兄弟会として親戚団体としての縁を結んだ関係性にある【参考記事「住吉会と道仁会が「兄弟」に」】。両組織では今月16日に親戚関係を結んでから初顔合わせを行い、その翌日に小林会長が稲川会サイドを尋ねて、そこから粘り強く交渉し、両組織の和解が実を結んだといわれている」(事実通)

「道仁会は、2012年に国内で初めて特定抗争指定暴力団として指定され、内部の離脱から血で血を争う抗争を経験している組織になります。抗争の悲劇や被害を身をもって体験しているだけに、懸命に労を取ったのではないでしょうか。かつて稲川会系武闘派組織が同会を離脱し、抗争に発展したのち、最終的に稲川会へと復帰を果たしたことがありました。この時も和平に尽力した親分の1人が小林会長といわれていました」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 福岡県久留米市に本拠地を置く道仁会は、武闘派組織として名高い。だがそれだけでなく、道仁会を率いる小林会長は、時の氏神、つまり仲裁役としても名を馳せてきたという。それは凄まじい抗争を経験した親分だからこそなしえてきたことといえるだろう。今回も交渉は簡単ではなかったようだが、それでも巨大組織同士の全面抗争を食い止めた小林会長の功績は、任侠界で語り継がれていくことになるだろうともいわれている。
(文=山口組問題特別取材班)

山口組問題特別取材班

山口組問題特別取材班

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年の山口組分裂騒動以降、同問題の長期的に取材してきた。共著に『相剋 山口組分裂・激動の365日』(サイゾー)がある。

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