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「枝野氏が台湾を国」報道、朝日新聞に「言葉狩り?」「言葉抜き出し」とマスコミ界から疑問

文=編集部
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枝野幸男オフィシャルサイトより

 立憲民主党関係者はもちろん報道関係者ですら首をかしげているようだ――。

 朝日新聞インターネット版は13日、記事『台湾を「国」「島国」 立憲・枝野代表が繰り返し言及』を公開。次のように立憲民主党の枝野幸男代表を批判した。

「立憲民主党の枝野幸男代表が、札幌市内で開かれた会合で演説し、台湾について『国』や『島国』と繰り返し言及した。日本や米国など中国と国交がある国々は台湾を『国』として認めていない。旧民主党政権時代に官房長官を務めた枝野氏の国際感覚が問われそうだ」

 記事では、衆議院北海道2区補欠選挙の応援のため札幌市に赴いていた枝野氏が、同党候補者の総決起集会で新型コロナウイルス感染症の対策に関して演説したことに触れている。その中で、「世界の中でマスクしないで人数の制約なんかしないで会合のできる国がある。飲食も旅行も、国内旅行なら平気でできる国がある。台湾、ニュージーランド、オーストラリア」「この三つの国の共通点何か。島国だ」などと述べたこと取り上げ、問題視したようだ。

 また「告示日の13日朝の街頭演説でも、枝野氏は台湾について『国内での感染を事実上ゼロにしている国』などと『国』として言及した」と指摘している。

他メディアの記者らも報道に違和感「言葉狩りでは?」

 同記事中でも触れられている通り、1972年の日中共同声明以来、日本政府は台湾を国家として認定していない。だが、この報道に、実際に決起集会や街頭演説の取材をしていた他メディアらの記者らは首をかしげている。選挙取材に携わる地元テレビ局関係者は次のように話す。

「朝日さん、そこを抜き出すの!?と本当にびっくりしました。私たちの言葉に対する注意深さが足りないと言われれば、その通りなのかもしれません。が、私には枝野さんの演説は『島国』の中のひとつという意味合いにしか聞こえませんでした。

 厳密には『三つの国と地域の共通点はなにか』などと言えばよかったのかもしれませんが、演説の骨子は『台湾が国かどうか』ではなく、どのようなコロナ対策が有効かという話であって、支援者や地元の有権者が知りたいのもそこだったのではないのでしょうか。選挙で重要なのは候補者や各党の政策論だと思うのですが」

 別の全国紙記者も困惑気味に話す。

「最初、中国政府の(機関紙『人民日報』の傘下である)環球時報の記事かと思いました。(スクープを)『抜かれた』という印象はまったくありませんね。デスクも『放っておけ』という感じでしたし。日本国内はもとより国際的にもセンシティブな認識問題だとは思いますが、緊迫化している中台問題に言及していたのならまだしも、演説はまったく別の話です。言葉のみを単体で抜き出し国際認識がどうのこうのっていうのは……。

 森喜朗氏や麻生太郎氏、東京五輪に関する発言で注目を集めている二階俊博氏など、これまで多くの政治家の失言や意図の不明瞭な発言が社会を変えるきっかけになってきました。発言者の背景や文脈を含め、問題発言だと客観的に判断できるのであれば、積極的に報じるべきだと思いますが、今回に関してはいささか『言葉狩り』めいているように思いました」

枝野氏「『国』という言葉を使うことは国際感覚とは関係ない」

 同報道を受けて、枝野氏は13日、以下のように自身のTwitter公式アカウントで釈明しているが、演説内容に関しては訂正も撤回もしていない。

「私は、外交的にも政治的にも1972年の日中共同声明を変更する意志はなく、遵守すべきとの立場です。政府の一員であった時も、そう対応しました。一方で、『国』という言葉は、承認された国家や外交関係のある国家に限定されない広義のものです」(原文ママ、以下同)

「文脈上のわかりやすさから、その意味で『国』という言葉を使うことは、日中共同宣言と矛盾するものではなく、国際感覚とは関係ないと思います」

「なぜ集会の場で枝野氏に見解をたださなかったのか?」

 同党参議院議員は次のように激怒する。

「公党の代表が言葉遣いに慎重であるべきなのは当然です。今、我々は与党の失言や失策を追及する立場ですが、政権与党だった時、配慮が足らない発言をする同僚が複数いたことは否定できません。だからこそ、発言の細かな部分にまで気をつけなければいけないことは重々承知しています。しかし今回の報道は普段、朝日新聞さんが常々批判しているゴシップと同じ雰囲気が漂っています。言葉尻をとらえれば確かにその通りなのかもしれませんが、演説の内容は検疫などを通じたコロナの水際対策の話です。曲解も甚だしいと思います。

 しかも記事では党本部役員室が失言を認めたかのようなむすびになっていますが、事実はそうではありません。緊迫化している中台問題に関しては、国としてどのように向き合っていくのかを国会で大いに議論すべきでしょう。しかし、それは別の話です。

 そもそも演説を聞いて、台湾に関し、枝野代表の国際認識に疑問があったのなら、決起集会や街頭演説の場で直接見解をただすべきではなかったのでしょうか。事を荒立てるつもりも、抗議もしませんが、朝日新聞さんはクオリティーペーパーだと思っていただけに失望しました」

 同記事には「同党本部役員室報道担当は、枝野氏の発言を認めたうえで、『党として台湾を国として認めているわけではない。表現として、誤解を与える話し方になったのかもしれない』と釈明した」とある。同党本部役員室報道担当に、朝日新聞の取材方法や記事の事実確認をしたところ、次のように話した。

「枝野代表ご自身がTwitterで説明されている通りです。突然、電話取材があり『どう思うか』を問われました。当時はまだ、枝野代表の演説を書き起こした原稿が上がってきておらず、『そのような誤解を与えるお話があったのかもしれない』とした上で、日中共同声明に基づく党としての公式見解をお伝えしました」

 中台関係はセンシティブな問題だからこそ、政治家だけではなくメディア関係者もまた丁寧にことに臨む必要があるのだろう。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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