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知られざる男性不妊の実態…「自転車やサウナが原因」は都市伝説?数少ない専門医に聞いた

文=清談社
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「gettyimages」より

 晩婚化・晩産化の進行に伴い、「子づくり」に苦労する夫婦が増えている。不妊という問題は女性側に原因が求められがちだが、近年の調査によると、不妊の約50%は男性側の問題が関係するという。

 不妊を自分自身の問題と考える男性に対して、2020年12月には日本初の男性向け妊活サイト「Bable」が開設された。男性不妊の相談窓口として人気を集め、「不妊治療は女性が受けるもの」という社会通念も変わろうとしている。また、不妊治療への保険適用は菅義偉政権の目玉政策のひとつでもある。

 そこで、男性不妊治療の専門家である泌尿器科医の湯村寧氏に、不妊問題の現状や正しい向き合い方についてうかがった。

男性不妊の8割は「造精機能障害」

 友人や家族に相談しづらい、デリケートな問題である男性不妊。ED(勃起不全)に代表される性機能障害も原因疾患のひとつだが、それは全体の1割程度にすぎず、約8割は健康な精子をつくり出す際の生理的トラブルである「造精機能障害」に起因するとされている。

 健康な精子は、「精子量」「精子濃度」「精子運動率」「正常形態率」という4つの項目が一定のレベルを超えている。しかし、「造精機能障害」と診断された人の精子は、すべての項目において低い数値を示したり、または何かの数値だけ著しく低かったりするなど、バランスを欠く場合が多いという。

「男性不妊の患者の約80%が『造精機能障害』にカテゴライズされますが、その原因は特定できないことが多いんです。体に一切異変がないにも関わらず、なぜか精子の数や運動率が著しく低い。このようなケースを『特発性』と呼んでいます。自覚症状は皆無ですから、パートナーと一緒に産婦人科を訪れた人が試しに精子を検査してみた結果、特発性の症例だったと判明するケースが多い。治療法としては、手術では治せないものなので、薬物療法がメインになります」(湯村氏)

 原因不明の「特発性」と診断された患者は、主にビタミン剤や漢方薬を服用することで改善を目指す。高額な治療費がかかるのではないかと心配してしまうが、不妊治療に用いる薬は比較的安価であり、1カ月あたり2000円から3000円で済むことが多いという。

「原因がよくわかっていないとなると、治療が難しいのではないかと危惧する方も多いですが、私が勤めている病院では、薬物治療によって『特発性』の患者の約半数に改善が見られています。最近になって“亜鉛”が精子の質を向上させることが示唆されましたが、今後も有効性の高い成分が発見されれば、改善率は上がっていく可能性はあります。また、喫煙や過度なアルコール摂取、食生活の乱れも精子に悪影響を与えるので、生活習慣を健全に保つことも治療の上では大事になってきます」(同)

「自転車やサウナが原因」は都市伝説?

 薬物治療や生活習慣の改善によって克服可能なケースが多い男性不妊だが、「不治の病」であるとか「治療に莫大なお金がかかる」といった臆測や、「サウナ好きには不妊が多い」といったエビデンスのはっきりしない情報を耳にする機会も多い。

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