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小谷寿美子「薬剤師が教える薬のホント」

薬剤師の私がコロナワクチンを接種後に体験した一部始終…「有効率95%」の意味

文=小谷寿美子/薬剤師
薬剤師の私がコロナワクチンを接種後に体験した一部始終…「有効率95%」の意味の画像1
「Getty Images」より

 テレビをつけると、毎日のように新型コロナウイルスワクチンの話題が登場して、いろいろな意見が出てきています。薬剤師である私個人の意見として、早くこの「コロナ騒動」を終了させて自由な日常を取り戻したいと思っています。それを踏まえて、読み進めてもらえればと思います。

コロナワクチン体験記

 人間という生き物は、膨大なデータより個人の体験記を信じてしまう傾向があります。データにして「個」を埋没させると、「自分はどうなのか」というリアルが想像しにくいのです。今回は、あえて個人の体験記を記します。普段であれば薬剤師として「客観的なデータを見てください」と各所で話していますが、自分の体験がコロナ騒動を終了させるきっかけになるのなら、喜んで差し出します。

 私は薬局薬剤師の枠で予約を取り、ワクチン受診券をもらいました。ワクチン接種可能医療機関のうち、勤務している薬局から歩いて行けるクリニックへ予約を入れました。クリニックに指定された時間に行きました。問診票を渡して体温を計測し、いよいよ注射の時間です。

「ブスッ!」。これで終了です。血液検査の針のほうがはるかに痛いと感じるほど、痛みはありませんでした。昨年11月に受けたインフルエンザ予防接種のほうが、液が皮膚に染み渡る感じがしてつらかったです。「筋肉注射」は皮膚の下の筋肉に針を入れるので痛いと思い込んでいたところ、かなり拍子抜けしました。なお、ファイザー社のワクチンです。

 当日の夜から注射された場所が痛くなってきました。寝がえりを打つたびに痛みを感じながら夜を明かしました。翌日は薬局の仕事が休みでした。朝からだるくて仕方がありませんでした。熱はなかったため、無理せず家の中でできる作業をしていました。13時からプロ野球の中継が始まるので、家で観戦をしていました。武田投手の快投でホークスは勝利! 気分はいいはずなのに、体はだるくて仕方がありませんでした。

 16時半から悪寒が始まりました。大人の悪寒はかなりつらく、布団の中で震えていました。悪寒がつらすぎるので葛根湯を投入しました。悪寒はなくなり熱が上がりきったのを感じました。その時の体温が38.0℃でした。動くのがつらいのですが、お腹は空くもので、夕飯をなんとか食べた後はそのまま横になって寝ていました。

 朝になり体温を測ると36.4℃まで下がっていました。熱が下がった以上は薬局で仕事です。だるさはまだ残っていました。腕の痛みはピーク時よりはマシでしたが、残っていました。これが1回目の経緯です。

 2回目についてはデータ上1回目より熱が上がることになっていますから、かなり覚悟をしていました。しかし、翌朝の熱を測ると36.2℃でした。これから熱が上がるかもしれないと横になっていましたが、36.8℃が最高でした。一日寝ていたものの、腕の痛み以外は何もなく、終わってしまいました。

有効率をもう一度考えて

 ワクチンは、「集団」としてどれだけ効果があるのか、ということと、「個人」としてどれだけ効果があるのか、ということを考えます。個人としては体の中にしっかり「抗体」がつくられたか、ということを調べます。抗体ができれば次にウイルスが入ってきても、抗体が封じ込めてくれて病気が発症しません。添付文書には「50%中和抗体価」というものが記載されています。この数字が大きいほど、しっかり抗体がつくられているということです。ワクチン群が524.5、プラセボ群が10.6でした。

 集団としては「有効率」というのが指標になります。ワクチンを打つと、どれだけの人を助けることができたか、ということを評価します。話をわかりやすくするためにキリのいい数字で説明します。実際の数値ではないので注意してください。

 ワクチン群1000人、プラセボ群1000人の経過を調べたら、ワクチン群では発症者が2人、プラセボ群では20人出ました。「ワクチン群でも発症するなら効果ないのでは」「プラセボ群でも20人しか発症しないのだから、打たなくても一緒では」と思うかもしれませんが、有効率を考えるときには脇に置いておいてください。

 ワクチンを打つことで20-2=18人が助かったわけです。ワクチンを打たなければ20人が発症していたところ18人が助かったので、18÷20=0.9→90%が有効率ということになります。ファイザー社のコロナワクチンではこの有効率が95%です。集団として95%助けることができるのですから、このコロナ騒動を抑えるためには「積極的にやって」ほしいのです。

安全性について

 残念ながら、ワクチンにおいては「死亡例」があります。こうした例はショッキングなので、私たちの記憶に残りやすいのです。つまり、私たちは「ワクチン=死=危険」と認識してしまうのです。mRNAワクチンという画期的な成分のため、「遺伝子操作プログラムが組み込まれた」という誤った情報が広がり、それを信じてしまっている人がいます。mRNAから遺伝子であるDNAに戻ることはありません。

 ワクチン接種後の症例としては、熱や頭痛、接種部位の痛みが起こる人もいます。「症例数がまだ少ないので、もう少し症例が集まってから接種したい」と考える人がいてもいいと思います。私が経験したことは、概ねワクチンの添付文書のデータ通りだったと認識しています。

 ワクチン接種券がくるまで、冷静にワクチンのことを考えることができます。私は一日も早く、この「コロナ騒動」が終わってほしいと願っています。

(文=小谷寿美子/薬剤師)

小谷寿美子/薬剤師、NRサプリメントアドバイザー

小谷寿美子/薬剤師、NRサプリメントアドバイザー

薬剤師。NRサプリメントアドバイザー。薬局界のセカンドオピニオン。明治薬科大学を505人いる学生のなか5位で卒業。薬剤師国家試験を240点中224点という高得点で合格した。
市販薬も調剤も取り扱う、地域密着型の薬局チェーンに入社。社歴は10年以上。
入社1年目にして、市販薬販売コンクールで1位。管理薬剤師として配属された店舗では半年で売り上げを2倍に上げた実績がある。

市販薬、調剤のみならずサプリメントにも詳しい。薬やサプリメントの効かない飲み方、あぶない自己判断に日々、心を痛め、正しい薬の飲み方、飲み合わせを啓蒙中。

Twitter:@kotanisumiko

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