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「かつて、みんな笑顔だった」…世界的道化師、ウクライナ、ロシアの子どもたちを撮った写真展開催へ

文=Business Journal編集部
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ウクライナ、ロシアなどで公演をしてきた大棟氏(日本ホスピタル・クラウン協会提供)
ウクライナ、ロシアなどで公演をしてきた大棟氏(日本ホスピタル・クラウン協会提供)

「かつて風船の剣を手渡した子どもたちが、今、本物の銃を手にして戦っているかもしれない」

 道化師(クラウン)として国内外で活動する名古屋市の大棟耕介さん(52)は、子どもたちの屈託のない笑顔を切り取った写真を見ながら、“戦争の不条理さ”をかみしめる。大棟さんは、戦前に自身が訪問したウクライナロシア、ベラルーシの子どもたちの写真を展示するチャリティー写真展の全国開催を目指して、奔走し続けている。

小児がん・重病の子どもたちに“笑顔”を届ける

 写真は、2008~13年に、ウクライナ・中西部に位置するジトーミル州立小児病院やベラルーシ、ロシアの児童養護施設などに、大棟さんが慰問公演したときの様子をファインダーにおさめたもの。その数、数百枚。赤い鼻を付けたクラウンのおどけた仕草に、目を丸くしてはしゃぐ子どもたちの表情に、紛争の暗い影はない。

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 21年、世界で最も活躍したクラウンに送られる「クラウン・オブ・ザ・イヤー」を受賞した大棟さんは、全国約100の小児科病棟でクラウンによる慰問公演を行う「日本ホスピタル・クラウン協会」の理事長でもある。

 協会の活動の一環として、2004年からロシアのモスクワとサンクトペテルブルクの小児病棟、児童養護施設、障碍者施設を4年間毎年訪問。ウクライナを初めて訪れたのは08年。チェルノブイリ(チョルノービリ)原発事故の被災者支援団体の知人の紹介で、ジトーミル州の小児病院などで公演し、小児がんに苦しむ子どもたちのため、バルーン・アートや皿回しを披露した。12年と13年には、ベラルーシの児童養護施設や小児病院にも足を延ばした。

 だが、ロシアのクリミア併合直前の13年、ウクライナ国内の動乱と国際情勢の悪化で訪問は途絶えた。しかし、ウクライナの人々との交流は今も続いている。

 今年2月から始まったロシア軍によるウクライナ侵攻で、戦火はジトーミル州にも及んだ。小児科病院訪問時からの現地の協力者から、「小児科病院の子どもたちは爆撃を逃れてスイスに避難した」と聞いた。ロシアやベラルーシの関係者とは連絡が取ることができていないという。

 訪問当時と同じように、ウクライナの小児科病院には今も病魔と闘っている子どもたちがいる。「自分にできることはないか」と思い立って始めたのが、これまでの東欧訪問で撮りためた写真を展示し、子どもたちを支援するための寄付金を集めることだった。

 大棟さんは知人などに呼び掛けて、5月までに愛知、埼玉、茨城、三重の4県のスーパーや市役所、病院などでチャリティー写真展の開催を決めた。全国で写真展を開く意向で、今も開催場所に関する協力を呼び掛けている。

 集めた募金はジトーミル州立小児病院に直接振り込む予定という。また募金の一部は駐日ウクライナ大使館と連携を取り、多くの子どもたちが避難しているポーランドに人道支援物資を送付することも計画している。7月ごろをめどに、大棟さん自身がポーランドまで直接物資を届けようと考えているという。

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