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松本人志、上島竜兵さん死去めぐりBPOに苦言…問われるBPOの責任

文=Business Journal編集部
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松本人志、上島竜兵さん死去めぐりBPOに苦言…問われるBPOの責任、体張る芸に規制の画像1
ダチョウ倶楽部のInstagramより

 お笑いタレントの上島竜兵さん(ダチョウ倶楽部)が11日未明、死去した。上島さんと約40年にわたり付き合いがあるタレントの松本人志(ダウンタウン)は15日放送のテレビ番組『ワイドナショー』(フジテレビ系)に出演し、時折涙声になりながら上島さんを偲ぶコメントをし、昨今のテレビ局の自主規制によりダチョウ倶楽部の持ちネタである“熱湯風呂”や“熱々おでん”など体を張るネタを行うことが難しくなっている状況について持論を展開し、「BPO(放送倫理・番組向上機構)さん、どうお考えですかね」などと語った。

 上島さんの訃報を受け、芸能界では上島さんと親交があった芸能人から次々とコメントが寄せられている。

 共演も多かった明石家さんまは14日放送のラジオ番組『ヤングタウン土曜日』(MBSラジオ)内で、「一番好きな芸人、一番好きな後輩」「思い出もあるんで、ちょっとこたえた。さすがの俺も」とコメントした。

 同じ“リアクション芸人”としてコラボする機会も多かった出川哲朗は所属事務所を通じて、「無念です。まだまだ竜さんとケンカしてチュ~したかったです。最高のライバルであり最高の友でした」とコメントを発表した。

 ダチョウ倶楽部がブレイクするきっかけにもなった『スーパーJOCKEY』や『お笑いウルトラクイズ』(ともに日本テレビ系)の司会だったビートたけしは所属事務所のホームページ上で、「芸人は笑っていくのが理想であって、のたれ死ぬのが最高だと教えてきたのに、どんなことがあっても笑って死んで行かなきゃいけないのに、非常に悔しくて悲しい」とコメントを発表した。

 上島さんと後輩芸人たちの飲み会「竜兵会」メンバーだった劇団ひとりは14日放送のラジオ番組『劇団サンバカーニバル』(FM-FUJI)内で、「うーん。ちょっと(オープニング音楽の)音、絞って」と言い、「触れないのも気持ちが悪いし、かといって、昨日今日の出来事だから笑い話にできるかというと、そこまでには至ってないし。いつか笑い話にできるように腕を磨いていくというのが、芸人としてのひとつの課題」とコメント。続けて「“市原隼人、撮影現場では絶対にうどんしか食べない”というネットニュースなんですけど」と笑いでオトした。

「BPOさん、どうお考えですかね」

 そんななか、20歳くらいの頃から仕事での共演などを通じて付き合いがあったという松本人志は15日放送の『ワイドナショー』内で、「要所要所でうちの番組来てくれて、盛り上げてくれて」というと、涙をこらえながら「ちょっとごめんなさい」と言葉を詰まらせ、司会の東野幸治に「ちょっと(ゲストのハライチ)岩井(勇気)に振ってくれる?」とコメントを中断。

 そして、神妙な面持ちで次のように語った。

「理由は一つじゃないんでしょうけど、ダチョウ倶楽部の芸とかお笑いが、テレビではやりづらくなってて。そういう思いとかジレンマとか、痛みを伴う笑いがダメと言われてしまうと、“熱湯風呂”とか“熱々おでん”とかもできない。僕なんかは、あの芸が有害なんて、ちっとも思わないし。それだけが理由とは思わないですけど、BPOさん、どうお考えですかねって、ちょっと思いますね」

 実際に上島竜兵さんは、自身の持ち味である体を張った芸がやりにくくなりつつある風潮について、悩みを語っていた。4月25日に出演したイベントでは、リーダーの肥後克広が「ダチョウ倶楽部の芸は密なんです。離れてやってると全然おもしろくないんです」というと、上島は

「やってることが熱湯風呂とか熱々おでんを食べたり、番組によっては筒を作ってもらって、それにおでんを通して長い箸でやるっていうんですけど、口に通すまでにちょうどいい温度になっちゃうんですよね。ケンカしてチューができないからね。もう、こんなの俺としては商売あがったりですよね」

と語っていた。

“体を張る”系の芸人たちがやりにくく

 ここ数年、テレビのバラエティ番組などで定番だった“体を張る笑い”に対しては厳しい視線が注がれ、自主規制される流れになっているのは事実だ。たとえば松本が触れたBPOは4月、「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解を発表し、

「テレビで演出される“他人に心身の痛みを与える行為”を、青少年が模倣して、いじめに発展する危険性も考えられる。また、スタジオでゲストが笑いながら視聴する様子が、いじめ場面の傍観を許容するモデルになることも懸念される」

などとしている。

 テレビ局関係者はいう。

「熱湯の風呂に上島さんを突き落したり、熱いおでんを顔に押し付けたり、嫌がる相手にキスしようするといったダチョウ倶楽部のネタは、まさにBPOが警鐘を鳴らす“他人に心身の痛みを与える行為”に該当してしまい、テレビではダチョウ倶楽部に限らず“体を張る”系の芸人たちがやりにくくなっているのは事実だろう。

 また、松本人志が出演する毎年大みそかの恒例番組『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!絶対に笑ってはいけないシリーズ』の放送が昨年は中止となったが、コロナ対策をしながらの収録が困難なのに加え、番組恒例だった罰ゲームでお尻をたたくというお決まりのパターンが許されなくなり、それに代わる案でどう番組を成立させるのかという問題をクリアできなかったことも要因の一つにあるといわれている。

 そうした背景もあり、松本としてもBPO、そして最近のテレビの置かれた現状に憤りを感じる部分もあるのではないか。個人的には、今回の松本の発言はBPOへの苦言だと受け止めた」

 また、別のテレビ局関係者はいう。

「“規制、規制”というのは簡単だが、BPOやその指針に何も考えずに追随するテレビ局によって、仕事のチャンスが減るタレントはいやおうなく生じる。もちろんその責任をBPOもテレビ局も取るわけではなく、無責任のようにも感じる。“痛みを伴う笑いはダメ”というのは正論かもしれないが、今まで良しとされてきたものが突然ダメということなればハレーションは起きるし、“本当に有害なのか?”という深い議論もなしに“ダメなものはダメ”となれば、それはそれで逆に危険な気もする。表現や演出の安易な自主規制が広がることの弊害を、BPOやテレビ局はどう考えているのか」

(文=Business Journal編集部)

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