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森喜朗、個人的恨みから講談社を五輪スポンサーから排除か…組織委会長の権限を乱用

文=Business Journal編集部
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東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会の公式サイトより

 東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件の東京地検特捜部の捜査は、かつての大会組織委員会のトップにまで達した。朝日新聞は9日、記事『森喜朗元首相を参考人聴取 東京地検特捜部、五輪汚職めぐり複数回』を公表した。報道によると「森氏は組織委の元理事・高橋治之容疑者(78)と一緒に贈賄側の出版大手『KADOKAWA』の会長とも面会していたことが判明」したと報じ、「特捜部は、元理事の受託収賄容疑の立証に森氏の聴取が必要と判断したとみられる」という。

自身の報道めぐり講談社・故野間佐和子社長と直談判

 この報道の直前、文春オンライン(文藝春秋)は7日、『森喜朗・組織委会長が「講談社は絶対認めない」 KADOKAWAのライバル社を排除《音声》』と題する記事を公開していた。東京五輪オフィシャルサポーター(スポンサー)の出版社枠に名乗りを上げていたKADOKAWAと講談社のうち、講談社が辞退することになった内幕について、2020年初春に実施した森氏のインタビュー内容から推測している。記事によると、森氏は次のように語ったのだという。

「私がこの間、組織委員会になってから、ある会社が契約のアレをしたいと言うので、何をやるのかと思ったら、相手が講談社だった。私は『絶対認めない』と言った。何かって、『俺はこんなものを認めるなら辞めようと思う』と言ったら、みんなビックリして」

「講談社をやめて、別の出版社を連れてきたけどね」

 講談社が発行する「週刊現代」「FRIDAY」の報道が「森氏が講談社を認めない」理由だとしている。

「週刊文春」9月15日号では、森氏が否定する「早大生時代の買春検挙疑惑報道」や「元石川県議の長男・祐喜氏(故人)に関する報道」などを具体例に挙げ、森氏が当時講談社社長だった野間佐和子氏(故人)の元を訪れ、“談判が決裂した模様”についての証言を伝えている。

 組織委の会長は“みなし公務員”であり、公平性と公益性が求められていることは言うまでもない。

森氏のメディア対決姿勢と揺るがぬ業界の支持

 森氏は政治家時代から同氏に批判的なメディアに黙っているタイプではなかった。元全国紙政治部記者は振り返る。

「首相の番記者は、地方から本社に戻ってきた比較的若手のホープが担うことが多く、未熟なところもあったのでしょう。森さんは、こちら側の取材の不手際や記事の書き方について首相辞任直後から批判を展開してきました。一方で、フェアに議論しようという姿勢がある限り、どんなメディアの取材や対談に応じる度量はあったと思います。もし文春報道にある通り、ご自身の心象をもとに会長権限を駆使して排除したのなら穏やかではありませんね」

 組織委員会会長になった後も森氏は“一言居士”であり続け、東京五輪開会直前に「女性発言問題」で辞任することになった。しかし、森氏に対するスポーツ業界の人々の支持はなおも強固だ。全国紙スポーツ担当記者は語る。

「競技や試合の結果、私生活について、メディアの苛烈な批評にさらされる続けるスポーツ選手やコーチ、監督、競技団体関係者にとっては、スポーツ業界側に立って発言してくれる森さんは良き代弁者です。ラグビーワールドカップの日本大会の成功などの実績もあり、スポーツ基本法の成立にも携わりました。業界人にとっては守護神に近いものがあります。だからこそ、組織委会長辞任後も森さんを支持する声は後を絶ちません」

五輪汚職疑惑の渦中で進む森氏の胸像建立計画

 朝日新聞は7日、記事『森喜朗氏胸像建立で募金集め 橋本聖子氏ら発起人「偉大な功績顕彰」』を公開し、森氏を顕彰する胸像の建立計画が進んでいることを明らかにした。同計画に対して、SNS上では批判的なコメントが殺到している。

 発起人は後任の組織委会長の橋本聖子参議院議員、ラグビーワールドカップ組織委員会会長を務めた御手洗冨士夫キャノン会長、川淵三郎元日本サッカー協会会長、嶋津昭・元ラグビーワールドカップ組織委事務総長ら15人。以下のように述べられた趣旨書が業界関係者に配布された。

「森喜朗先生は、総理大臣、文部大臣を歴任され、財団法人日本体育協会(現 公益財団法人日本スポーツ協会)会長としてわが国のスポーツ界をけん引されてこられました」

「このほど発起人の発案により、先生の胸像を建立し先生のスポーツ界における偉大な功績を顕彰しようということになり、そのための募金を行うことになりました」

「先生が残された多くの功績、そのお教えは、スポーツ界のみにとどまりません。多くの方々から尊敬され慕われている先生の顕彰事業を行うために、以下の要領で募金を受け付けておりますことを、お知らせ申し上げます」(いずれも原文ママ)

 寄付は1口5000円という。サッカーJリーグやバレーボールVリーグなど“ボールゲーム9競技、12トップリーグ”の運営活性化を担う一般社団法人日本トップリーグ連携機構所属の一部団体にも同趣意書は配布されていたようだ。

 ジャパンラグビーリーグ加盟のチーム関係者に胸像建立計画について聞いたところ、「嶋津さん関連の話だと聞いている」と話し、趣意書の内容を認めた。その上で、次のような疑問を口にした。

「チームではなくあくまで個人の感想ですが、確かに(森氏の)功績を記録する必要はあるとは思います。しかし、胸像という形をとる必要性があるのかどうかはよくわかりません。ファンや応援してくれる日本のたくさんの人々の思いあってのチームであり、日本ラグビー界です。スポーツ業界の村社会化がこれ以上進まないといいのですが」

 特捜部の捜査で五輪という巨大公共事業の利権構造が明らかになりつつある。東京五輪に対するスポーツ業界のあり方は、多くの日本国民の支持を得られるものだったのだろうか。“偶像崇拝”の域にまで達しつつある森氏への業界人の“信仰”も、今あらためて問われている。

(文=Business Journal編集部)

 

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