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平均年収1440万…あの超高収益企業の謎 異次元の合理主義経営、非常識な営業

文=福井晋/フリーライター
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自由闊達な論議を醸し出す合理主義的社風

 同社事業モデルの根幹には合理主義がある。それは単なる効率化追求を目的としたものではなく、「社員の知恵や活力を引き出すのが目的」(同社関係者)といわれる。それが社風や日常業務にも表れている。

 その一例がエレベータだ。初めて同社を訪れた取引先などの部外者は、エレベータでの社員の振る舞いに一様に驚く。

 社内のエレベータに若手社員、管理職、役員、部外者の4者が乗り込む場合、ドア側からこの順で入るのがビジネスマナー。これは同社も同じだ。ところが4者が同じフロアで降りる場合、部外者がいればその部外者を優先して降ろすのはマナー通りだが、その後は若手社員、管理者、役員の順で降りる。

「ドア側にいる者から降りるのが自然の流れ。役員だからといって、奥にいる者が先に降りるなど不合理極まりない」(同社関係者)

 この考え方は会議でも同じだ。同社では、会議でも役職による席順にこだわらない。会議室に入った順に奥から座るのが社内ルールとなっている。「仮に社長が最後に来たら、入り口近くの席に座る」(同)という。

 同社で重要なのは、問題解決をめぐって社員が自由闊達に議論できる環境であり、役職による上座・下座の席順ではないのだ。

 この合理主義は、管理職の肩書廃止にもなって表れている。同社管理職の名刺には、部課長の肩書記載がない。「○○責任者」の記載があるだけなので、部外者から職制の見当が付きにくいと文句を言われるという。社内では「部責任者」が部長職、「グループ責任者」が課長職、「エリア責任者」が係長職の目安になっているという。呼称はもちろん社員、管理職、役員の別を問わず、すべて「さん付け」だ。

 管理職の肩書を廃止しているのは、管理職に対して「日常的に肩書で呼んでいると自然に階層意識が生まれ、議論の場ではどうしても『上司の意見尊重』になる。上司も『どうして俺の意見が聞けないのか』と考えがちで、会議で白熱した議論など望めなくなる。したがって当社では、管理職である○○責任者はあくまで組織運営上の1つの役割という位置付けだ。これによって、議論を戦わす場では責任者も一般社員も同等の立場という社風が育まれる」(同)。

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