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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

うますぎるハーゲンダッツ!材料はシンプルなのに、なぜ他社はマネできない?

文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授

おいしすぎるハーゲンダッツ

 最近でこそ、さまざまな高級アイスクリームが市場に投入されていますが、ハーゲンダッツを初めて食べた時のおいしさに驚かれた方も多いのではないでしょうか。もう30年も昔のことですが、大阪出身の筆者が受験で上京した際、まず出かけて行ったところは東京・青山のハーゲンダッツショップでした。当時はコンビニエンスストアでの販売は行われておらず、大阪で食べる術はありませんでした。

 一般のアイスクリームと比較し、高価格であるにもかかわらず、順調な販売を維持しているハーゲンダッツのおいしさの秘密はどこにあるのでしょうか?

こだわりの原材料

うますぎるハーゲンダッツ!材料はシンプルなのに、なぜ他社はマネできない?の画像2『「高く売る」戦略』(大崎孝徳/同文舘出版)

・良質なミルク

 どのアイスクリームメーカーも主たる原料である牛乳に対して、こだわるのは当然のことです。しかしながら、ハーゲンダッツは乳牛の健康管理はもちろんのこと、主食となる牧草の成分分析、さらには乳牛にとって理想的な牧草が育つために土壌のpH値までも厳しく管理された土地で育った乳牛のミルクを使用するという徹底ぶりです。

・世界中から厳選した素材

 さらに風味を決める副原料にも徹底的にこだわっています。例えば、イチゴは3年もの歳月をかけて探し出した、味わい、香り、色合いとも最もハーゲンダッツアイスクリームと相性のいい品種が選定されています。また、抹茶はハーゲンダッツ専用にブレンドされており、石臼で丁寧に挽いているため薫り高いものとなっています。

・“キッチン・フレンドリー”な素材

 ハーゲンダッツのアイスクリームはミルク、砂糖、卵が主原料となっており、これらにアイスクリームの風味を決めるフルーツやナッツ、チョコレートなどが副原料として加わっています。こうした家庭のキッチンにあるような食材を使うことをハーゲンダッツでは“キッチン・フレンドリー”と呼んでいます。合成添加物を使用せず、キッチン・フレンドリーな原材料を選んでアイスクリームをつくる理由は、素材のおいしさをそのまま伝えるためです。こうしたコンセプトは健康を気遣う現代人のニーズにもぴったりマッチしていることでしょう。

 筆者はこれまで、こだわりの原料などは他社が簡単に模倣できるため、差別化における有効な施策ではないと考えていました。しかし、こうしたハーゲンダッツの徹底ぶりを見ると、原料においても徹底すれば差別化要因になり得ると感心した次第です。

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授。1968年、大阪市生まれ。民間企業等勤務後、長崎総合科学大学・助教授、名城大学・教授、神奈川大学・教授、ワシントン大学・客員研究員、デラサール大学・特任教授などを経て現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。著書に、『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』『すごい差別化戦略』(以上、日本実業出版社)などがある。

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