・ケース2
税務署に電話が入った。
客「○○のアウトレットに今いるんだけど、テイクアウトの客が大勢席に座っているんだ。外食分の消費税を払った人たちが座れないから、すぐに来てどかしてくれないか」
税務署「今すぐと言われても困ります。行くまでに時間もかかるので、しばらく待っていただけないですか」
客「だけど、8%しか払っていないのにフードコートに座るのは脱税じゃないんですか? 脱税を見つけたから通報しているのに、税務署は見逃すのですか」
フードコートを持つ商業施設やファストフード店は、外食客の席を確保するよう対応しなければならなくなるだろう。また、客同士のトラブルが起きないように、席に座っているテイクアウト客を店内やフードコートから締め出さなければいけなくなる。それ以前に、テイクアウト客が座らないように監視しなければならなくなるだろう。
さらに、外食を注文するということは「座る権利を買うようなことになる」ので、席が空いてない状況で外食客の注文を受けることはクレームの元になる。席料を払った客に、席を探させるわけにはいかない。ましてや、トレイを持ったまま立って待たせるわけにもいかない。「席がいっぱいなので少々お待ちください」と席が空くまで販売を中止せざるを得ないだろう。
コーヒーショップのように椅子席と立ち席が混在する店舗や立ち食いソバ屋は、屋台ではないから外食に該当するだろう。つまり、消費税2%の差額は、コンビニを除いて「席料というより店内使用料」という性格になるのかもしれない。
軽減税率では、屋台は立って食べると非外食、座って食べると外食になる。ファストフードやフードコートでは、店内で食べることができるのは外食だけになる。まるで「金がない奴は、外で立って食べろ」と言わんばかりである。
飲食店からすれば、「わざわざ店まで足を運んでいただいた客」から税金を多くとらなければいけない。電話一本で注文を受けて人手を使って運ぶ出前は、税金が少なくて済む。時間も人件費も出前のほうがかかるからといって、出前料金を別途請求できる高級店ならいいが、「どちらも大切なお客様だから、とても出前料金を請求できない」という中小飲食店も多いはずだ。
ホテルでも、レストランで飲食すれば外食だが、ルームサービスを頼むと非外食になる。「国会で決まった法律を守るのは国民の義務」と言われても、釈然としない人もいるのではないだろうか。