今夏の参院選に向けて、民主党が民進党と改名した。筆者は政治評論家ではないし、改名の裏事情など知るよしもないが、マーケティングの研究者という立場からすれば「いかがなものか」と思わざるを得ない一件があった。
それは、「党名の公募」である。党名とは党の顔であって、政治家が命を賭して守るべき理念の象徴ではないか。などと堅いことを言うつもりはないが、こういう一大事を「客任せ」にしてしまえば、とりあえず「権威」が失墜してしまう。
「権威」はなぜ大切なのか。たとえば何か判断を下す際、「権威」の言うことを聞いて済ませば、圧倒的な時間と労力、そして何よりも思考の節約になる。人は何でもかんでも事情通になるわけにはいかないから、やむを得ないことである。
というわけで、ショーン・マクアードル川上氏の学歴が嘘だったとわかった時、われわれは非常に困惑した。彼の「権威」を担保していたのはほぼ唯一「ハーバード大学MBA(経営学修士)」という学歴だったのだから、それを検証せずに起用した番組の罪は重い。
政治にしても、われわれは政策を一つひとつ検証できるほど暇ではない。だからこそ政治家は「権威」でなければ困るし、党名くらい自分たちで決めるべきではないか。
マックの「禁じ手」
それにくらべれば他愛もない話だが、マクドナルドも「禁じ手」をやってしまった。「名前募集バーガー」である。
最終的に「北のいいとこ牛っとバーガー」と決定。そのセンスの良し悪しは置くとして、テレビコマーシャルでお笑いタレントのバカリズムに言わせた科白がふるっている。
「まあ、あるっちゃ、あるんじゃないですか」
筆者は非常な違和感を抱き、しかし食べなきゃ何も言えまいというわけで、マクドナルド秋葉原駅前店におもむいた。店内はなかなかの混み具合で、少なくとも店内の混雑ぶりを見れば、マクドナルドが不調とはにわかに信じがたい。もっとも観察してみれば、客の大半はスマホの画面に見入る20〜30代の男性で、どうやらWi-Fi目当てのようだ。
さて、「北のいいとこ牛っとバーガー」をさっそく食べてみた。