日本法人は玩具業界の巨人
トイザラスのチャプター11申請について、日本法人の日本トイザらスは「日本法人に影響はない」とコメントした。チャプター11は米国とカナダの事業が対象で、日本法人は対象外。日本トイザらスは、米トイザラスに対する債権・債務はないとしている。
日本トイザらスは1989年、米トイザラスと日本マクドナルドの合弁会社として設立され、91年に国内1号店「トイザらス荒川沖店」をオープンした。2000年にジャスダックへ上場したが、10年に株式は非公開となり、米トイザラスの100%子会社となった。17年4月、米トイザラスと香港の貿易・物流・流通グループのファン・リテイリングが合弁で運営している中華圏・東南アジアのトイザラス事業と統合。日本トイザらスは、「トイザラス・アジア・リミテッド」のグループメンバーとなった。
日本では、出店を厳しく規制する大規模小売店舗法(大店法)があったが、風穴を開けるためにトイザラスは1989年頃から米政府と連携し、日本政府を揺さぶった。この外圧が効力を発揮して91年に大店法は改正され、流通規制が緩和された。日本トイザらスのHPでは、92年に来日したジョージ・ブッシュ大統領(父ブッシュ)が来店したと披露している。
この規制緩和により、各地で大規模なショッピングセンターがつくられ、日本トイザらスが出店した影響で中小の玩具専門店は姿を消した。
日本トイザらスは「トイザらス」や「ベビーザらス」の店舗を国内に160店舗展開。東京商工リサーチによると、17年1月期の売上高は1405億円、純利益は17億円だった。玩具の小売りベースの市場規模は8031億円(16年度、日本玩具協会調べ)に上り、日本トイザらスは市場シェア17%を握る玩具業界の巨人となった。
日本でもアマゾンの猛威が吹きまくる?
米国で起こることは、2~3年遅れで日本でも必ず起きることを経験則が教えている。
米トイザラスの破綻は、アマゾンをはじめとするネット通販の猛威をモロに受けた結果といわれている。米国ではアマゾンに敗れた小売りの実店舗(リアル店舗)の閉鎖が記録的なペースで進んでいる。
米通信社ブルームバーグは4月8日付記事『米国で小売店舗閉鎖が加速、アマゾン独り勝ちの影響深刻に』の中で、小売店が驚異的なペースで倒産していると報じている。また、アマゾンに蹴散らされたのは実店舗だけでない。ネット通販会社も同様だ。
「積極的なネット販売戦略を展開しているブランドでも、業界リーダーであるアマゾン・ドット・コムの高い成長についていくのに苦心している。調査会社イーマーケターによると、2016年の電子商取引売上高の内訳は53%がアマゾン・ドット・コム、それ以外が47%だった」(ブルームバーグ記事より)
トイザラスの経営破綻は、日本でもアマゾンによる倒産が連鎖する前触れかもしれない。
(文=編集部)