日本のスタバは大丈夫か?
店舗の飽和で苦境にあえぐ米国のスタバ。一方で日本のスタバはどうか。
日本でスタバを展開するスターバックスコーヒージャパンは、1995年に米スタバ本社と日本のサザビーリーグが出資するかたちで設立した。翌96年に東京・銀座に第1号店をオープン。03年に500店、13年に1000店を達成し、順調に店舗数を伸ばしていった。店舗数は現在も増加傾向が続いており、18年3月末時点で1342店を展開している。
米国ではスタバとマクドナルドの店舗数は同程度。そのため、スタバは日本でもマクドナルドと同程度の店舗数を展開できる可能性があると考えることもできる。マクドナルドは日本で現在約2900店を展開しており、スタバも同程度まで拡大したいところだろう。
日本では米国のように逆風が吹いていないように見えるスタバ。ただ、近年は顧客満足度の低下が指摘されており、予断を許さない。日本生産性本部サービス産業生産性協議会の「日本版顧客満足度指数 カフェ部門」で、14年度に顧客満足度1位を達成したものの、15年度は3位に転落、16年度は4位に後退し、17年度は上位4社から外れた。混雑や値段の高さが影響したとみられている。
顧客満足度ではドトールコーヒーショップが優位に立つ。15年度にスタバから1位の座を奪ったのがドトールだ。17年度まで3年連続で1位を獲得している。値段の安さが人気の秘密だ。全国の店舗数は18年5月末時点で1122店となっており、スタバに引けを取らない店舗網を誇っている。
そして、スタバの前にさらに大きく立ちはだかりそうなのがコンビニエンスストアだろう。
マクドナルドが08年に豆のグレードを上げて「100円コーヒー」を販売したところ、約1カ月半で前年度の4分の1に当たる3000万杯を売る大ヒット商品となったのを受け、コンビニ各社がレギュラーサイズで1杯100〜180円のいれたてコーヒーの販売を一斉に始めるようになった。ローソンが11年から、ファミリーマートが12年から、セブン-イレブンが13年から本格展開している。
また、コンビニは近年イートインコーナーを充実させている。イートインコーナーでコーヒーを飲むことができるため、「コンビニのカフェ化」が急速に進行している状況だ。大手3社だけで全国に約5万店を展開しており、その実力と将来性に鑑みると、スタバといえども過小評価はできない存在といえるだろう。
日本ではまだまだ成長が期待できるスタバ。その一方で、コーヒー市場での競争は激しさを増している。スタバの真価が問われそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。