日本でおなじみの「ガチャ」に対する風当たりは強烈だ。海外では「ルートボックス」(お宝の戦利品)と呼ばれている。課金によって貴重(レア)なアイテムを入手するチャンスが得られるが、射幸心を煽りすぎるとして、米国をはじめ各国で規制する動きが活発になっている。
ルートボックスが問題視されるきっかけとなったのは、世界的な人気のゲーム『StarWars バトルフロント2』だった。当初は、ゲームを有利に進めることができるアイテムをルートボックスから入手できる機能があったが、発売直前に削除された。スターウォーズをテーマにした、子供にも愛されるゲームに射幸心を煽る機能を付けることに批判が殺到したからだ。
米メディアによると、ワシントン州議会に「ルートボックスはギャンブルか否か」を討議する議案が提出された。議案書を提出したワシントン州上院議員のケヴィン・ランカー氏(民主党)は、「踊るウサギや何かしらのかわいいキャラクターを使って、なんでも食いつくすギャンブルであることを隠しているようなゲームに、子供たちが食い物にされるのが許せない」と語っている。
消費者庁は12年、射幸性が高い「コンプリートガチャ」について、景品表示法に抵触するとの指針を示した。これ以降、ある程度透明になったといわれるが、ガチャの仕組み自体は存続したままだ。仮に、ガチャがギャンブルと認定されれば、ゲームメーカーには死活問題となる。
ゲーム大国ニッポンの黄昏
日本は世界に冠たるゲーム大国である。米マーケティング調査団体センサー・タワーが、アップルストアにおける12年から17年にかけての国別の1人当たりの支出額をまとめた。アップルストアは米アップル社が運営するアプリケーションのダウンロードサービス。有料アプリを集計した。
6年間で1人当たりの支出がもっとも多かった国は、日本だ。金額は214ドル(約2万4000円)と断トツで、2位のオーストラリア(114ドル)の1.9倍、3位の米国(92ドル)の2.3倍に上る。
17年だけの支出額で見ると、日本は68ドル(約7500円)。そのうちの61ドル(約6700円)がゲームアプリだった。日本のゲームは、ガチャなどの課金額が突出しているということだ。
東京株式市場はソニー(時価総額7.9兆円=9月5日終値時点)、任天堂(同5.6兆円)など、時価総額が大きいゲーム関連企業が支えてきた。中国の“テンセント・ショック”に加え、ゲーム依存症をきっかけに欧米では規制の動きが加速する。
我が世の春を謳歌してきた日本のゲームバブルは、崩壊の兆しを見せ始めた。
(文=編集部)