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吉野家HDが「いきなり!ステーキ」に“食われ”始めた…怒涛の出店攻勢受け赤字転落

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
吉野家HDが「いきなり!ステーキ」に“食われ”始めた…怒涛の出店攻勢受け赤字転落の画像1吉野家の店舗(撮影=編集部)

 牛丼チェーン「吉野家」を傘下に持つ吉野家ホールディングス(HD)が1月10日発表した2018年3~11月期の連結決算を受けて、市場に衝撃が走った。本業の儲けを示す営業損益が5.6億円の赤字(前年同期は25.9億円の黒字)に転落したためだ。3~11月期で営業赤字になるのは、4.7億円の営業赤字だった09年度以来。実に9期ぶりだ。売上高は前年同期比2.4%増の1500億円だった。

 営業赤字に転落した理由として、まずはコストの上昇が挙げられる。売上原価率は前年同期から0.9ポイント悪化し35.8%だった。売上高販管費比率は1.3ポイント悪化し64.6%となった。牛肉やコメなどの原材料費の高騰やアルバイト・パートの時給上昇による人件費の増加などが影響した。外食産業では原材料費や人件費の高騰で苦しむ企業が少なくないが、吉野家HDも例外ではなかった。

 こういったコスト上昇は、確かに影響を及ぼした。ただ、それよりも大きな要因がある。グループ会社のアークミールの不振だ。同社は「ステーキのどん」「フォルクス」「しゃぶしゃぶどん亭」など肉料理の業態を18年11月末時点で国内に170店(海外に3店)展開している。18年3~11月期のアークミール事業の売上高は150億円で全体の1割を占める。そのアークミールがセグメント損益で7億円の赤字(前年同期は1億円の黒字)を計上したのだ。主力の吉野家事業とうどん店運営のはなまる事業は増収ながらも減益だったが、いずれもセグメント損益は黒字を保っている。アークミールが大きく足を引っ張ったかたちだ。

 アークミールがセグメント損失を計上したのは、コストが上昇したほか、競争激化により既存店売上高が低迷し店舗数が減ったためだ。売上高は前年同期から10.2%も減少し、それにより収益性が悪化。セグメント損失の計上につながった。ステーキの量を増やすキャンペーンなどを実施したが、思ったようには客足を伸ばすことができなかった。

 アークミールは競争激化で収益性が悪化したが、特に厳しい攻勢をかけられたのがペッパーフードサービスが展開する「いきなり!ステーキ」だ。アークミールのステーキ店「ステーキのどん」と「フォルクス」が「いきなり!ステーキ」の攻勢に押され、客を奪われている。

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