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吉野家HDが「いきなり!ステーキ」に“食われ”始めた…怒涛の出店攻勢受け赤字転落

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

「いきなり!ステーキ」に食われ始めたアークミール

「いきなり!ステーキ」は13年12月に1号店が誕生した。立ち食い形式にすることで低価格を実現し、それを武器に人気を獲得し成長してきた。毎年数十店規模で出店を重ねている。特にここ最近は出店攻勢を強めており、18年11月末時点で国内に363店を展開しているが、1年間で190店も増え倍増している。当初は駅チカを中心に出店してきたが、最近は郊外ロードサイドにも積極的に出店している。昨年11月には全都道府県への展開を成し遂げた。

 一方、「ステーキのどん」は1976年に群馬県前橋市で1号店が誕生。郊外ロードサイドを中心に出店してきた。関東と関西を中心に1月7日時点で国内に69店を展開する。「フォルクス」は70年に大阪市で創業。郊外ロードサイドを中心に出店し、関東と関西、九州を中心に同時点で国内に41店を展開する。両者とも同じステーキ店だが価格帯が異なり、「フォルクス」のほうがやや高い。

「ステーキのどん」と「フォルクス」は「いきなり!ステーキ」の脅威にさらされている。両陣営が競合するケースは少なくない。それを具体的に示すため、東京で大きく競合している事例を以下に挙げてみる。

・「ステーキのどん武蔵村山店」(武蔵村山市)は「いきなり!ステーキイオンモールむさし村山店」(同)と車で10分
・「ステーキのどん三鷹店」(三鷹市)は「いきなり!ステーキ三鷹東八道路店」(調布市)と車で10分
・「ステーキのどん東浅川店」(八王子市)は「いきなり!ステーキ八王子店」(同)と車で15分、「いきなり!ステーキ八王子松木店」(同)とは車で30分
・「フォルクス新橋店」(港区)は「いきなり!ステーキ新橋日比谷口店」(同)と徒歩で5分以内、「いきなりステーキ新橋店」(同)とは徒歩で5分
・「フォルクス晴海トリトン店」(中央区)は「いきなり!ステーキ晴海トリトンスクエア店」(同)と同一の商業施設内
・「フォルクス富士森公園店」(八王子市)は「いきなり!ステーキ八王子店」(同)と車で10分、「いきなり!ステーキ八王子松木店」(同)とは車で20分

 このように、「ステーキのどん」や「フォルクス」の近くに「いきなり!ステーキ」があることが少なくない。上記以外の店舗で両陣営が競合するケースももちろんある。「いきなり!ステーキ」の出店が進むにつれて、そういったケースが増えている。また、近隣に「いきなり!ステーキ」があったことが一因で閉店に追い込まれたと思われる事例もある。

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