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垣田達哉「もうダマされない」

大量に料理を残す料理番組、一口だけ試食の情報番組…テレビ、“食品ロス”が常態化

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
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 店を出ると、カメラクルーが2~3組いて、それをさらに別角度からとらえている場面もある。それを見ていると、大勢のスタッフが出演者と共に店を後にしていると想像できる。残った料理は、誰が食べているのだろうかと気になって仕方がない。ときどき「スタッフみんなで全部食べました」といったナレーションが入ることもあるが、そうなると「ナレーションを入れていない場合は食べていないのか」と疑ってしまう。ほとんどのスタッフが出演者と行動を共にし、ごく一部のスタッフが店に残って、出演者が食べ残した料理を食べているのだろうか。そうであれば「スタッフが残って、ちゃんと食べていますよ」ということを伝えてほしい。

 これも料理番組と同じだが、録画なのだから次に行くことを最優先しないで、店で提供された料理を食べ終わってから、出演者もスタッフも出発すればよい。誰が食べるにしても「完食しましたよ」ということを視聴者に伝えるべきではないだろうか。

「もったいない」はテレビから実践してほしい

 生番組でも気になることがある。今は、生番組で日本中の名産品や和菓子、洋菓子などを紹介している。その際、実物を取り寄せてスタジオの出演者に食べさせることがある。出演者が、一口だけ食べて皿をテーブルに戻す。そのままテーブルごと下げられ、次のコーナーに移るという様子が映し出されることがある。

 それを見ていると、一口食べて残されたものを誰が食べているのだろうと気になる。生放送中である。スタッフが、裏で残された食べものを食べている余裕はないだろう。ましてや、出演者がスプーンで一口食べ、そのスプーンが置かれた皿にあるケーキを食べたいだろうか。それでも、もったいないからといって、番組が終わってから、みんなで残りものを食べているのだろうか。

 視聴者には商品は別撮りで紹介するのだから、出演者には、生放送で食べられる分量だけを皿に盛るべきだ。特に、コーナー進行者には食べさせないほうがいい。見ていると、進行にばかり気を取られ、味わうというより、単に口にするだけで進行のことしか考えていないようにも見受けられる。

 食品ロスを削減する国民運動が、法律で推進されることになった。「もったいない」は、影響力が大きいテレビだからこそ率先してほしいものだ。
(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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