「上場企業に女性役員を少なくとも1人」。安倍晋三政権が打ち出した女性活躍推進策に掲げられた目標だ。日本の上場企業の女性取締役比率は、わずか1.2%。先進国は大半が10%を超える。この比率は、海外の投資家から厳しい目でチェックされている。
外国人投資家が女性取締役比率に注目する理由は、女性取締役のいる会社のほうが投資のリターンが高いというデータがあるからだ。米マッキンゼー・アンド・カンパニーは、欧米では女性取締役が3人以上いる企業は、そうでない企業に比べて業績がいいという調査結果を発表している。
安倍政権は、成長戦略には女性の活躍が欠かせないとして「202030」という目標を掲げた。2020年までに指導的立場(管理職)に占める女性の割合を3割とするという政府目標だ。これを受け今年、大手企業は女性取締役の起用に向けて一斉に走り出した。
大手企業が女性総合職を本格採用し始めたのは1990年頃で、まだ取締役年次に達していない。政府が目標に掲げる「202030」の最終年は、くしくも東京五輪開催の年である。生え抜きの女性取締役が続々誕生し、「上場企業に女性役員を少なくとも1人」という目標は達成されることになるのだろうか。
(文=編集部)
【続報】
●木本常務が社長に昇格
高島屋は14年1月23日、木本茂常務(57)が2月1日付で社長に昇格する人事を発表した。11年間社長を務めた鈴木弘治社長(68)は代表権のある会長となり、引き続きグループ全体の経営を統括する。木本氏は国内の百貨店事業の業務執行に責任を負う。統治と執行責任を鈴木氏が1人で担ってきたが、2月以降は2人で責任を分担し、経営判断を早くする。木本氏は代表権を持つ専務や常務3人を飛び越えて、社長に抜擢されただけに意外な人事と受け止める向きが多い。
木本・新社長が鈴木氏から託された任務は国内百貨店の収益改善。4月の消費増税後の消費の冷え込みをどうやって打開するかが最初の試金石となる。