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児玉氏への謝礼については感謝状と御歳暮を贈っただけというのがジャパンラインの公式発表だった。しかし、76年に発覚したロッキード事件で児玉氏の金脈が明るみにされ、その発表が嘘であったことがわかった。ジャパンラインから児玉氏への謝礼は現金1億100万円に400万円相当の純金の茶釜と、1600万円相当の東山魁夷の絵画「緑汀」だった。解決を依頼したときに着手金を別に1億円支払っていたため、現金は2億100万円になる。
この時、児玉氏から水島氏に謝礼として20カラット、時価1億円のダイヤモンドの指輪が贈られた。ちなみに水島氏はこのダイヤを所得として申告せず、後に国税局から追徴処分を受けている。1億円というのは73年当時の大卒初任給の約2000人分に相当する。ロッキード事件が発覚しなければ、こうした裏の金の動きは闇に隠されたままになったとみられている。
水島氏は政官財、法曹界の人脈を駆使し、中堅百貨店だったそごうを全国に30店展開する大手百貨店グループに育てた。しかし、バブル崩壊後は乱脈経営で経営が悪化し、2000年7月、当時では過去最大となる1兆8700億円の負債を抱え、民事再生法を申請して事実上倒産した。水島氏は同年4月に経営責任を問われて会長を辞任していた。
さらに水島氏はそごうが経営破綻した直後、私財の差し押さえを免れるため1億5600万円を隠したとして強制執行妨害容疑で逮捕され、06年に有罪が確定した。同年、旧日本長期信用銀行と締結した債務の連帯保証など226億円の負債を抱え、水島氏は破産した。「怪物経営者」といわれた水島氏の生涯からは、戦後の日本経済の光と影が透けてみえてくる。
(文=編集部)
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