番組内で安藤はインタビュー冒頭、「今シーズンいっぱいで、現役を引退します」と引退を表明するとともに、「一人の女性として生きたいというわがままな決断により、4月に赤ちゃんを無事出産しまして、もう母になりました」と、出産していたことを報告した。
安藤は続けて、「でもリンクの上ではちゃんと責任を持ってこれからもがんばりたいと思いますので、どうぞ皆さん温かい目を持って、応援していただけたらすごく嬉しいなと思います」と呼びかけた。
同番組によれば、2010-11年のシーズンで、全日本、四大陸、世界選手権などすべてを制覇した安藤は1年間の休養を経て、12年秋から復帰予定だったが、コーチであったモロゾフとの師弟関係を打ち切り、コーチが見つからないという苦境に立たされていたという。
このモロゾフとの契約打ち切りについて安藤は、「自分としては引退まで彼と一緒にやらせてもらうという、もう100%の気持ちでいたんですけど、断られてしまったので、どうにもできなかったですね」と語った。
また、一部報道でモロゾフとの交際が報じられていたことについて聞かれた安藤は、「(モロゾフとは)いい関係でした。どれだけ調子が悪くても、こうリンクサイドにいてくれるだけで、『できる』っていうそういう強さをくれる。ニコライ(・モロゾフ)とは最後の最後まで、この先生に見守られて、リンクを去りたいなって思っていたので、『コーチできない』って言われた時には理解できなかったっていうか……」と当時の心境を語った。
安藤はそうした苦境の中、昨年10月頃からソチ五輪に向け振り付けなどをつくるなど復帰の道を模索していたところ、安藤の身体に変調が現れ、妊娠が発覚したという。
その当時の葛藤について安藤は、次のように語った。
「赤ちゃんがお腹にいるっていうふうで、最後まで迷ったっていうか、自分はいやだったので、そういう(お腹の赤ちゃんと)さよならしてしまうという答えを出すのが。でもやっぱり周りの環境というか、スケーターとしての自分とか立場とかを考えて。最初は皆さんやっぱり、反対された時もあって、自分なりには一生懸命、一番は母ですけど話して、スケートよりもその子の命のほうを選んだですけど」
また、「スケートは自分をここまでしてくれた、かけがいのない存在ですけど、この世界に生を受けて、やっぱり女として生まれてきたので、なぜその(出産という)道を選んだかというと、自然に女性としてというか、一人の女の人として出さしてもらった」と、今回の決断に至った理由を説明した。
番組内ではこのほかにも、出産というブランクによる身体の変化で、これまで同様の滑りができなくなったが、それをカバーするために基礎筋力トレーニングに力を入れるほか、「振り付けをつくっている時から、早く皆さんの前で披露したいと思った。そういうふうに思たのは初めてかもしれないです。すごい楽しみだったんですよ、いろんなことが」などと語った。
安藤は今年末の全日本選手権、そして来年2月のソチ五輪に挑むが、出産後に五輪のフィギアスケート種目に出場した女子選手は、世界でこれまでにいないという。
(文=編集部)