男性ホルモンを味方につけろ
–自分の精力を確認する方法があれば教えてください。
岡宮 「最後に性交渉をしたのはいつですか?」と質問を自分に投げかけてください。その答えが一つのバロメーターになります。例えば、目の前に胸元が大きく開いた服の女性がいたとします。男性なら誰でも、女性の胸元に目が釘付けになるでしょう。このような「性衝動」は、主に男性ホルモンが影響しています。性的な衝動を感じた瞬間に、体の中では男性ホルモンが急増する仕組みになっています。男性ホルモンが増えれば、興奮作用のある神経伝達物質のドーパミンも分泌され、脳が興奮してきます。
このように発情状態を生み出す男性ホルモンですが、これは闘争心など“オスとしての本能”によっても分泌されます。「魅力的な女性を手に入れたい」「仕事を成功させたい」「大金を手に入れたい」というのは、根源としては同じ種類の欲求なのです。
–ほかに精力に関するエピソードがあれば教えてください。
岡宮 英ケンブリッジ大学の臨床研究で、ユニークな調査結果があります。ロンドンの金融街シティで働く株式トレーダーを対象に「男性ホルモンレベル」と「年収」の相関関係を調査したものです。驚くことに、男性ホルモン値の高いトレーダーは、そうでないトレーダーと比べて、年収にして最大7800万円もの差があったのです。これは男性ホルモンの量が多い人ほど、ここぞというときに勝負に出て、大きく投資する傾向があることを表しています。
これは、2D:4D比研究としても有名です。右手の人さし指と薬指の長さの比率のことです。薬指が、人さし指に対してどれだけ長いかが、その人の男性ホルモンの指標となるわけです。薬指の長い群のトレーダーは、薬指の短いトレーダーに比べて、はるかに儲けが多いことが明らかになりました。こうした傾向は男性のみならず女性においても成立するといわれています。男性的な決断力が要求される政治の世界で活躍する女性政治家は、薬指が長い傾向にあります。
–男性ホルモンが活発であれば、成功する可能性が高いといえるのでしょうか?
岡宮 また、「ちょいワルおやじ」という言葉が定着して久しいです。おしゃれでエロくて危険な香りのする中年男性を指しますが、このような男性たちはさまざまなことに精力的に取り組んでいます。だから魅力的なのだといえるでしょう。
一方、モテる男性の中には、女性関係で失敗した経験を持っている人も多いでしょう。欲望の趣くままに行動していると、スキャンダルで失脚したり、不倫の末に家庭崩壊などということにもなりかねません。一流の男性は、女性との関係もスマートです。「仕事がデキてモテる」だけで終わる人と、一流に上り詰める人の違いは、このあたりにも表れます。
–『なぜ一流の男は精力が強いのか?』執筆に当たって、意識された点をお聞かせください。
岡宮 本書は、男性はもちろんですが、女性にこそ読んでいただきたいと思っています。
本の題名から、女性は敬遠されるかもしれません。しかし、悩める男性をパートナーに持つ女性にこそ読んでいただきたいという思いも込めて執筆しました。男性は基本的には孤独な存在です。社会に出れば敵に弱みを見せないように心身の不調を隠し、家庭でも妻子に心配をかけないように強がってみせます。そんな苦悩を少しでもパートナーに分かち合ってもらえれば、男性は非常に心強く感じるでしょう。
素敵なパートナーに恵まれることも、一流の男性の条件なのかもしれません。
–ありがとうございました。
(文=尾藤克之/ジャーナリスト、経営コンサルタント)
●尾藤克之(びとう・かつゆき)
東京都出身。ジャーナリスト/経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など多数。
『なぜ一流の男は精力が強いのか?』 一流と二流を分かつものは、「精力=男性ホルモン力」である。仕事・お金・恋愛・結婚・病気―最速で、男を上げる、成功する男になる哲学とノウハウ。男の人生を変えるビジネス書。