–日常的に使っている、いわゆる「カタカナ英語」も、微妙なニュアンスの違いがあると聞きます。
我妻 最近、日本女性の間で「マッチョブーム」が起きていますが、ここにも地雷が潜んでいます。実は、アメリカでは「マッチョ」という言葉は「野蛮人」という侮蔑のニュアンスが強いのです。褒め言葉としては使えないため、アメリカのたくましい男性と話す時には、注意が必要です。
海外でのトラブル回避法は?
–細かなマナーは国によってそれぞれ違いがありますが、トラブルに巻き込まれないための秘訣はあるのでしょうか。
我妻 海外旅行の初心者におすすめしたいのは、「初めての国は南部から行く」ということです。国土が縦に長い国は、北部と南部で人間の性質がまったく違います。インドやベトナム、タイもそうですが、北は政治的で保守的な傾向が強く、南は開放的で人懐っこい雰囲気があります。北は神経質な人が多く、南はアバウトな気質の人が多いともいえます。ヨーロッパでもそういった傾向があるので、旅行自体に慣れていない人は、まずは南部から訪れるのがいいと思います。
–渡航前に、インターネット上で訪問国のマナーを予習しておくのも、いい方法ですね。
我妻 ネットで「○○(行きたい国) マナー」と検索すると、細かい注意点がたくさん出てきます。その時、最低限の予習として「意思を伝える言葉」もいくつかチェックしておくといいでしょう。このひと手間だけで、トラブルに遭うリスクが格段に減ります。
–官僚で実業家でもあった白洲次郎は、「金払いはよくしろ」「明るく振る舞え」「特定の女とばかり話すな。もし、言い寄られたらノーと言え」という金言を残していますが、これは海外旅行にも当てはまりそうですね。
我妻 どこに行く場合も、必ず押さえておきたい心構えです。買い物をする際、変に値切って相手の気持ちを逆なでしても、ろくなことはありません。明るく接していれば、相手の敵対心が自然に下がるのというのは、万国共通です。そして、親しげに言い寄ってくるタイプの人間は、だますために近寄ってくるケースが少なくないので、注意すべきです。海外で起きた殺人事件の経緯を見れば、一目瞭然でしょう。ほかの注意点を守るのは難しくても、せめてこの金言だけは肝に銘じておいてください。
–ありがとうございました。
ビジネスの世界では、「リスクヘッジ」が基本中の基本だ。我妻氏によれば、海外旅行に関してもまったく同じことがいえるという。渡航前にしっかりと予備知識を得ることは、トラブルの回避はもちろん、旅を楽しむことにもつながる。せっかくの旅を楽しいものにするためにも、ぜひインプットしておくべきだろう。
(構成=西山大樹/清談社)
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