安保徹「間違いやすい医学の常識」
「塩分摂りすぎや高血圧は悪い」のまやかし…忙しい人とのんびりの人に医学的根拠?
文=安保徹/新潟大学名誉教授、医学博士
昔は脳卒中で死んだり、半身不随になる大人が多く、還暦になったらうれしくて熱心に御祝いしていました。今は、多くの人が還暦までたどりつくので、御祝いすることもほとんどなくなりました。このようなトラウマが誤解されて、「塩分の摂りすぎはよくない」「高血圧はよくない」といわれるようになったのです。
ちなみに、昔の高血圧症の境界値は180mmHgで、それでも高血圧症の人は多かったのです。今は、基準値が下げられすぎています。
血圧は自律神経が決めるので、生き様や性格とつながっています。簡単にひとつの正常域を決めてはいけません。いつも血圧が高い人は、忙しさに気をつけましょう。忙しさがないのに血圧が高い人は、遺伝的素因の可能性が高いです。早めに床について睡眠時間を十分にとれば、バランスがとれます。血圧が180mmHg以上でも長寿になれるでしょう。薬で無理に血圧を下げると血流障害がきて、認知症や寝たきりになってしまいます。
(文=安保徹/新潟大学名誉教授、医学博士)