スーパー、なぜ「~しただけ」でトイレットペーパー販売数が1.5倍に?驚きの消費者行動が判明
この結果は、接触欲求の高い買い物客の場合、商品に触れられない状況では、手段的な触覚情報で補完できることを示しています。インターネットやカタログでの買い物は、接触欲求の高い買い物客には好まれませんが、売り手が手段的接触と関連する商品情報を積極的に伝えることで、そうした態度をよりポジティブなものに変えられることが示唆されています。
ペックとチルダーはさらに、オートテリック接触への欲求に焦点を当て、衝動買いとの関係を分析しています【註8】。スーパーで桃とネクタリンのどちらかを購入した買い物客を対象とした調査を行い、オートテリック接触欲求の高い買い物客のほうが低い買い物客よりも、自分の購買を衝動買いと感じる傾向にあることを明らかにしています。オートテリック接触欲求の高い買い物客は、低い買い物客よりも衝動買いをしやすいといえます。
また、「新鮮さを感じてみて(Feel the freshness)」というPOPを売り場につけると、オートテリック接触欲求の高低に関係なく、自分の購買を衝動買いと感じる傾向にあることも明らかにしています。接触を促す情報の提示は、衝動買いを誘発する効果があるといえます。
接触機会の促進と注意点
商品の品質は、ブランド名、原材料、産地、価格などの商品情報からある程度は判断できますが、それらは自分で確かめることはできません。商品に直接触れることは、買い物客自身による商品確認になり、そうした不確実な部分を減らすことができ、購入への自信が増すのです。商品に触れたことで所有しているような気持になり、商品の価値評価が上がることを示した研究もあります【註9】。