100円ショップ業界において、「ダイソー」「セリア」に並ぶ人気ブランドとして君臨している「キャンドゥ」。
キャンドゥの商品はシンプルかつ高品質なつくりに加え、そのカラーリングやデザインも、モノトーンをベースとした老若男女を問わないものになっている。こうしたデザインは、創業20周年の節目であった2013年、ブランドのロゴとカラーを刷新した際に統一され始めたものだ。
そんなイメージ戦略、そしてコツコツとした堅実な経営が功を奏したのか、キャンドゥの年商は18年11月末時点で707億4100万円。店舗数は19年11月末で1050店舗と、着実な成長を続けている。
今回「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」は、そんなキャンドゥの冬商品を独自にリサーチ。「この冬、買ってはいけないキャンドゥの残念グッズ5選」を厳選したので、賢い買い物のためにも、ぜひチェックしてみてほしい。
「おふろ洗剤スプレー泡 300ml」/110円(税込、以下同)
外出して帰ってくると、すっかり身体の芯まで底冷えしてしまうこの季節。そんなときは温かいお風呂に浸かって疲れを取りたいものだが、浴槽の掃除が面倒で、ついつい諦めてしまうこともあるのではないか。
そこで活躍するのが、吹きかけて水で流すだけで浴槽の水垢を取ってくれる浴室用洗剤だ。「かがんでスポンジで洗う必要もなくなる」と評判で、多くのメーカーが発売しているものの、キャンドゥの「おふろ洗剤スプレー泡 300ml」には難点がある。
110円という格安な値段設定に惹かれがちだが、スプレーの広がりづらさや人工的なキツい柑橘臭、そして何より、大手メーカー品に比べると汚れの落ちが悪い。頑固な水垢などは結局手でこすらねばならないので、はじめからメーカー品を買ったほうが得策だろう。
「ヌードルピーラー」/110円
冬はクリスマスのごちそうや、正月休みのお餅ざんまいなど、高カロリーな季節料理が目白押し。どうしても太ってしまいやすいだろうし、せめて新鮮な野菜を摂取するよう心がけたいものだが、かといって毎日簡素なサラダばかり食べていても飽きがくるというものだ。
キャンドゥの「ヌードルピーラー」は、そんな飽きを解消してくれるという触れ込みのアイデア商品で、人参やキュウリといった野菜を差し込むと、鉛筆削り機の要領でヌードル状に切ることができる。だが実際は、刃の部分に常に野菜を押し当てて回さなければならず、少しでも傾くと、ブチブチと野菜が切れてしまう。かなり慎重にトライしてみても、出来上がるのはヌードルではなく野菜クズの山なので、残念商品といわざるを得ない。
「アイマスク+耳栓セット」/110円
年末年始の休みに、海外へ旅行する人も多いかもしれない。長時間のフライトのおともといえば、明かりをさえぎり、安眠へと導いてくれるアイマスクだろう。
キャンドゥの「アイマスク+耳栓セット」は、決して悪い商品というわけではない。アイマスクのみならず耳栓までついてくるので、お得な部分もあるのだが、他の100円ショップのアイマスクに比べると、キャンドゥは一歩劣る印象だ。
ダイソーのアイマスクにはカラフルでデザイン性に富んだものが多く、一方でセリアはファー生地を採用していたり、幅広で窮屈さのない着け心地を実現していたりする。これらに対しキャンドゥのアイマスクは、サイズが小さくゴム部分も簡素。光が若干漏れてしまうし、耳が痛くなることもあった。同じ価格帯なら、別ブランドのものを選んだほうが賢いといえそうだ。
「個人情報保護用ブラックスティックのり」/110円
年末年始の大掃除や書類整理の場面で、個人情報が書かれた大量の書類を処理しなければならない場面もあるだろう。近年は文字を塗りつぶしてくれるローラーやスタンプが数多く出回っているが、キャンドゥの「個人情報保護用ブラックスティックのり」はおすすめできない。
まず、隠したい部分に転がしたり押したりするだけのローラーやスタンプに比べて、本品はスティックのりと同じスタイルなので、いちいち貼り合わせなければならないという手間が発生する。おまけに粘着力が弱く、ペリペリと剥がれてしまうこともあるのだ。
加えて、塗る際にのりが上手く広がらなくて肝心の文字が隠せないといった声も上がっているほか、時間がたって乾燥すると、黒く塗りつぶされていた文字が透けて浮かび上がってくる例もあるそうで、これでは本末転倒。ローラーやスタンプを使ったほうがいいだろう。
「シルキーシェフ 穴あき包丁」/110円
冬のアウトドアやBBQシーンなどでは、わざわざ家から包丁などの調理道具を持っていくのが億劫なこともあるはず。昨今の100円ショップでは、安価で比較的高品質な包丁が手に入るものだが、キャンドゥの「シルキーシェフ 穴あき包丁」はそうでもないようだ。
その理由はひとえに、切れ味の悪さである。包丁の性能がわかりやすいトマトやお刺身を試しに切ってみると、断面が汚く、型崩れしやすい印象。また、皮の硬いかぼちゃなどは上手く刃が入っていかず、無駄な力が入ってしまい、ケガにつながりかねない危険性も感じた。
それに、刃と柄の部分が一体型ではないので、隙間に汚れが入り込んでしまって洗いづらいのもマイナスポイント。110円という激安価格ではあるが、やはり包丁は値段に比例するアイテムなようだ。
シンプルかつ高品質がウリのキャンドゥだが、シンプルはいいとしても、“高品質”という言葉が追いついていないものもチラホラ見受けられた。たとえ110円でも損した気分になってしまわないよう、これらの商品の購入を検討する際は慎重になってほしい。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)