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「ところが、撮影開始当初こそ『私なんかがヌードを撮っていいのだろうか?』という戸惑いが強いのですが、約50分の撮影時間のなかで、少しずつ服を脱ぎながら緊張がほぐれていき、最後の1枚はまるで別人のようになります。撮影によって本人も知らなかった自分の魅力に気づき、『モデル気分がクセになりそう』という方もいます」(同)
実際、メモリアルヌード撮影はリピーターが多く、半年に一度の割合で撮影に来る人もいるほど。思い切って撮影してみた結果、「次はこういうカットを撮りたい」「こんな衣装を着てみたい」という欲が出てくるようだ。また、プロのカメラマンにヌード撮影してもらうことで得られる高揚感がクセになる人もいるという。
乳がんの全摘手術後に撮影する女性も
そもそも、女性のヌードは男性を意識したものと捉えられがちだが、いまや時代は変わりつつある。梅本氏は「多くの女性のヌードを撮影しているうちに、女性本来の美しさは男性の基準とは違う、と感じるようになった」と語る。
「メモリアルヌード撮影を始めたのは、フォトスタジオのオープンから3カ月たった頃に『マタニティではないが、数週間後に乳がんの全摘手術を控えているため、自分の体を写真に残したい』という相談の電話を受けたことが始まりでした。その後も、『乳がんの全摘手術』をきっかけにメモリアルヌードを撮る女性は多く、なかには、手術前に撮り、術後の全摘した状態で再度撮影に来た女性もいます。
そうした女性を見ているうちに、女性のヌードは『足が細い』『胸が大きい』など、男性が評価するものとは別物と考えるようになりました。妊娠線があったり、少しお肉が気になる部分があったりするのも、その女性の歴史の一部。メモリアルヌードを撮って自分の魅力に気づくことができるのなら、年齢にこだわらず、多くの女性に撮ってもらいたいという気持ちはありますね」(同)
男性を喜ばせるためではなく、女性が自分自身のためにヌードになる。それが当たり前になる時代も、そう遠くないのかもしれない。
(文=谷口京子/清談社)
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