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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

「●●の食べ物は体に良い/悪い」のデタラメ…信じて実践するのは愚かな危険行為?

文=新見正則/医学博士、医師

 これは、アルコールと同じ立ち位置です。アルコールが健康にプラスだと思っている人は少ないでしょう。少なくともアルコールの取り過ぎは誰もが健康にはマイナスだと思っているはずです。だからこそ自分の体と相談しながら、そして健診のデータなどを参考にしながら自分に適量なアルコールを楽しむことが長生きの秘訣ですね。

 同じように炭水化物も体に害がある、少なくとも取り過ぎは健康にマイナスとみんなが納得すれば、食べる量を減らすでしょう。そして健診で高血圧糖尿病疑いと指摘されても同様でしょう。

すべてのものは体に悪いと思うことは正しい?

 非常識君の「すべての食べ物は害である(可能性がある)」と思っておくことは、大切な視点だと思います。体に良いと思って購入したサプリメントで健康被害を被るような事態の防止にも通じますね。

 健康や食材に関する豊富な情報を把握できるようになって、相当の年数が経過しました。しかし、決定的に体に良い食材は登場していません。そうすると極端なようですが、すべてのものは体に悪いと思って、バランス良く食べることは、理にかなっているようにも思えます。

 株式でもひとつの会社の株だけ持っていると、その優良企業が突如破綻する事例は過去にたくさんあります。そんなことがないように、株式もポートフォリオを組みますね。いろいろな株を揃えるということです。

 食材もひとつに片寄ることは同じような危険をはらんでいます。医療情報を参考にしながら、自分なりの食材のポートフォリオを組むことが大切、という常識君のまとめでした。つまり、非常識君の発言がむしろ常識的な内容に落ち着いた議論でした。
(文=新見正則/医学博士、医師)

新見正則/医師、新見正則医院院長

新見正則/医師、新見正則医院院長

外科専門医 /消化器病専門医 /消化器外科専門医 /消化器内視鏡専門医
慶應義塾大学医学部卒業後、外科医として研鑽を積む。大学病院や関連病院で診療にあたるほか、英・オックスフォード大学にて博士課程を修了。
新見正則医院 公式サイト

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