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なぜあなたは、太る&寿命縮まるとわかっていても、甘いものや肉を食べ続けてしまうのか?

文=ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学客員教授

 4番目から5番目の「自己実現」に移行するという欲求がそれほどない人たちは、3と4の段階をある程度達成すると、次に何をしてよいのか、人生を生きることへの動機づけがなくなってしまうようだ。実際には、大半の人が5番目に到達できないといわれる。

 また、テロや戦争に対する恐怖、地球温暖化による自然災害や地震災害、資本主義経済への信頼度低下といった不安度の高い社会においては、2番目の安全・安心への欲求すらおぼつかない。将来への確固たる希望が持てない不安定な情勢のなかでは、内向きにならざるを得ない。家でおいしいものを食べること以外に、快楽を求める欲求度は低いのかもしれない。それが、先進国の肥満度の増大につながっていると考えることもできる。

 最近は、自動車、住居、洋服などを所有せずにシェアする「シェアリングエコノミー」が広まる傾向にある。化粧品のような消耗品ですらシェアする人が増えている。

 しかし、食品はどうだろうか。大きな袋詰めの菓子を数人でシェアすることはできるだろうが、ケーキやアイスクリーム、ステーキなどの食べ物は食べれば消えてしまうし、生鮮度の問題もあり、シェアしにくい。

 モノを所有しないシェアリングエコノミーの時代になっても、あるいはある程度の裕福度を達成しようとも、食べるものへの欲望は減少することがない。好きな食べものへの中毒とまではいかなくても、依存度は強い。

 人類の究極の快楽は食べること。そのため、自動車や洋服などが売れなくなっても、おいしい食べ物だけは必ず売れるのだ。
(文=ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学客員教授)

ルディー和子/マーケティング評論家

ルディー和子/マーケティング評論家

早稲田大学商学学術院客員教授。
国際基督教大学卒業後、結婚・渡米を経て帰国、
米化粧品会社のエスティ ローダー社で働きながら
上智大学国際部大学院経営経済修士課程修了。
エスティ ローダー社ではマーケティングマネジャー、
出版社タイム・インク/タイムライフブックス社での
ダイレクトマーケティング本部長を経て、
マーケティング・コンサルタントとして独立、
自身の会社ウィトン・アクトンを設立
ルディー和子オフィシャルブログ

Twitter:@shouhigaku

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