認知症の検査は危険!不必要に脳梗塞&胃潰瘍の患者にさせられ「心配」増殖の恐れ
自分が認知症かどうか心配という人が、多く外来に訪れます。しかし、そうした人の多くは認知症ではありません。わざわざ外来を受診して調べてほしいと考えるのは、認知症からほど遠い行動で、それだけで認知症でないと考えていいくらいです。
逆にはっきりした認知症の人の大部分は、外来を受診したがりません。「うちのじいちゃんはもの忘れがひどいのに、『俺は大丈夫だ』と言って医者にかかろうとしないんです」といったケースは、認知症の可能性が高いです。
前者の患者においても100%認知症でないとはいえず、さらに軽度の認知機能障害ということは案外あるかもしれません。ただ、その場合でも認知症そのものが問題ということはまずありません。問題は、本人が認知症を心配しているということです。
こうした人に対しては、「認知症に対する心配」が一番の問題ですから、認知症そのものに対するアプローチより、「認知症に対する心配」に対するアプローチが重要です。
生活上の不便がなければ心配無用
しかし、こうした人が医療機関を受診すると、大抵はそれと反対の状況に陥ります。どんどん認知症だけでなく、それ以外のいろいろな健康に対する心配が増大します。
たとえば、この状況でCTやMRIをとったとしましょう。するとどういうことになるかというと、70歳以上の人であれば30パーセントの人に隠れ脳梗塞といって、症状を出さず検査のみで見つかる脳梗塞が発見されます。そうすると、認知症ばかりでなく脳梗塞の心配も増えます。
隠れ脳梗塞が見つかると、その予防のために「血液がサラサラになる薬を飲んでおきましょう」などと医師に言われるかもしれません。実際は、血液がサラサラになる薬なんてありません。血小板という血液を固める細胞の邪魔をして、血液が固まりにくくする薬があるだけです。
さらに「血液サラサラの薬」は胃潰瘍になりやすく、血が止まりにくくなってしまいます。胃潰瘍になってそこから出血したら大変ですから、胃潰瘍の予防薬を飲んで、年に1回は胃カメラの検査を受けましょう、となったりします。認知症、脳梗塞に加え、胃潰瘍の心配まで付け加わります。