「肌に良い食べ物」と聞いて、どのようなものを思い浮かべるでしょうか。おそらく多くの人は「コラーゲン」が入っているものを連想するのではないでしょうか。
ところが、このコラーゲンについては効果の有無について喧々諤々とした論争になっています。その原因は、コラーゲンを摂取しても、それが肌を構成する成分とはならない点にあります。
コラーゲンの有用性については、サプリメントメーカーやドリンクメーカー、製薬会社から複数のデータや論文が出されているので、一定の条件下で、一部のコラーゲンについては効果があるといえるのかもしれません。
ただ、その論文が第3者によって正当性を証明されたり、ほかの研究機関によって同様の結論が再現されたりしなければ、「コラーゲン=美肌に有効」との科学的根拠にはなり得ません。逆に、これらの論文を科学的に否定するデータもないため、一概に効果を否定することもできません。
ひとつ確実にいえるのは、鶏肉や豚肉、スッポン、深海魚など、コラーゲンを含む食材を多少食べたところで、肌を構成するコラーゲンが増えわけではないということです。つまり、「コラーゲン鍋」を食べても肌がきれいになるわけではありません。
コラーゲンはタンパク質のひとつであって、基本的に体内ではアミノ酸として消化されます。そして、体内でコラーゲンが再生成されるかどうかは現時点では明らかになっていません。国立健康・栄養研究所も「コラーゲンを食べても美肌、関節に期待する効果が出るかどうかは不明」としています。
また、たとえ体内で生成されるコラーゲンの元となる良質なコラーゲンを摂取しても、2価の鉄イオンやビタミンCが不足すればコラーゲンは生成されません。特にビタミンCは、ストレスを受けたり、砂糖を摂取すると体内で大量に消費されます。タバコの煙を浴びても同様です。そのため、日本人は慢性的に不足気味の人が多いと考えられえています。
サプリ摂取ではなく、バランスのよい食事が重要
「肌は内臓の鏡」といわれるほど、体内の健康状態が顕著に表れます。暴飲暴食をしたり、寝不足が続いたとき、強いストレスを受けたときには、肌が荒れやすくなります。また、規則正しい生活をしていても、バランスの悪い食生活をしていれば内臓が弱り、やはり肌が荒れてきます。
つまり、内臓が健康でなければ、どんなに有用といわれるサプリを飲んでも肌はきれいにならないのです。
肌をきれいにするには内臓を健康に保つこと、ストレスを溜めないこと、バランスのよい食事をすることが重要といえます。どんなに良いといわれるものでも、サプリで摂取しては意味がありません。
あまりにも当たり前すぎる結論になってしまったので、肌に悪影響を与える食品を紹介します。
駄菓子(特にスナック菓子)、フライドチキンやハンバーガーといったファストフードなど、糖質・脂質が多い食品は、皮脂の分泌量を増加させ、吹き出物などの原因となります。また、コーヒーやエナジードリンクなどのカフェイン含有飲料は、ビタミンやミネラルを体外に排出させ、正常な肌の生成を阻害する原因となります。
にきびなどの吹き出物に悩んでいる人には、皮脂の分泌を抑える効果がある卵、魚、緑黄色野菜が有用です。乾燥肌気味の人は、亜鉛を含むカキなどの貝類や納豆を積極的に食べましょう。また、大豆食品やザクロは女性ホルモンを活性化し、肌がきれいになるといわれています。
(文=豊田美里/管理栄養士、フードコーディネーター)